新しい議会と住民の関係、先進議会に学ぶ

25日、名古屋にある愛知大学で行われた「第14回マニフェスト大賞キックオフ大会」に参加しました。参加費+交通費はかかりましたが、十分に価値のある話が聞けたと思います。

最初の発表は松本市議会議員から、「若者×議会~高校生が議会へ請願書~」というもの。松本市議会が平成27年から続けている松本工業高校生徒との交流事業。当初は議員が前で話す授業形式だったものを議員1対5、さらには2対8のグループワーク形式に変更。この取り組みの中から高校生への鉄道運賃補助や自転車レーンの安全対策等に関する請願書が出され、採択されたということです。自分たちの身近な問題が、市政の課題として実際に反映されるという実感を持ったことでしょう。

次は可児市議会事務局の方から「議会改革の舞台裏」 という発表。議会報告会の開催などはもはや当然のこととして、正副議長の立候補制度、ケーブルテレビで議会の活動をPRする12分番組を放送するなど、様々な先進的取り組みを行っています。今回は事務局職員の立場からの講演でしたが、引っ張っていくのはやはり「議員」とのこと。定数22名中平成19年に新人8名、平成23年に新人5名が当選し1・2期生が増えたことが大きな要因とのことでした。

若者からの発表もありました。可児市議会の高校生議会に参加した経験のある大学生、新城市の若者議会で議長、副議長を務めた高校生がそれぞれ発表。高校生議会を通して家と学校の往復ではなく、地域を感じるようになったという感想がありました。特に強調していたのは「市民」には当然若者も含まれるし、主権者教育というと「主権者=有権者」と認識されがちだが、そうではないということ。新城市の若者議会には1000万円の予算もついており、図書館のリノベーションなどが実現しているそうです。

 

お次は犬山市議会議員から。アメリカ出身でつい先日まで議長だったビアンキ氏の講演は熱が入りました。議会は与えられた権限を十分行使していない!と指摘、議員間討議を各定例会で取り入れてきたこと、そして個人や会派単位ではなく「チーム議会」として政策提言してきたことが紹介されました。そして平成29年から実施されて注目されたのが「市民フリースピーチ制度」。事前に申し込んだ市民が実際の議場で5分間スピーチができるというもの。発表者のレベルが高く、議員からも拍手が起こるという。議員間討議が定着し、相手の話を「聴く姿勢」が備わっていたから成功したとのこと。

休憩を挟んで横浜自民党のマニフェストの取り組みについて発表。国政の動きに左右されることなく「横浜自民党」としてしっかり政策を示そうと2011年に始まったもの。4年間で8本の議員提案条例の制定を約束し、1本だけ遅れたが5年で実現したとか。この動きから他会派からも条例提案の動きが出たとのこと。そして今年の統一地方選挙では、国連が定めたSDGsの17目標を踏まえた60項目の政策を列挙したマニフェストを作成。市民の反響も大きかったとのことです。

最後は有限責任監査法人の方から「人口減少時代の水道事業」について。蛇口から直接水が飲めるのは193か国中16か国のみ、世界では30~40%の漏水率が日本では7%以下というのは初めて知る事実でした。水道法により税金ではなく料金で賄われている水道事業だが、①収入減少、②老朽化によるコスト増、③職員の減少によって危機を迎えている。今後90%の自治体で値上げ、全国平均で36%、自治体の格差は最大で20倍になるというショッキングなデータが示されました。コストの見える化と住民を巻き込んだ議論が必要。

最後に総括が行われました。議員個人でなく「議会として」活動したことがありますか?という問いかけが今回の重要な提起でした。二元代表制の地方議会として、追認機関ではもちろんなく、行政監視機能だけでもなく、政策提案・立案機能を発揮する第2ステージの議会へと変わる必要が強調されました。

この5月は先日の滋賀での研修を含めてインプットがたくさんある月でした。少しずつでもアウトプットへ移行できるよう、取り組みたいと思います。

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