予算特別委員会 2日間の空転は何だったのか

9月10日、11日の2日間で予定されていた予算特別委員会は、日程を1日延ばして12日に終了しました。本題の補正予算の部分だけであれば1日ないし1日半で終わるような内容でしたが、本題に入るまでに2日間かかってしまう異常事態となりました。一体何だったのか、振り返ってみたいと思います。

問題の発端となったのは教育委員会が作成した公文書。平成30年度の教育委員会の事務に関する報告書ができたので議会に提出しますという、教育長から議長宛の文書でした。この中に、「なお、自民党、公明党の方々には事前説明の際にお配りしております」と書かれていました。この文章の何が問題なのかというと、こういうことです。

教育委員会から議会に報告書が提出される前に一部の議員のみが事前に説明を受け、報告書を受け取っていた

その後明らかになったことも含めて、時系列で書くと以下のようになります。
8/20 教育委員会で報告書が決定
8/26 報告書の提出についての文書(今回問題の文書)が起案される。その後7名のチェックを受けるも、問題は発見されず。最終決裁者は教育長。
9/2 教育委員会から自民党・公明党に対し説明日程の調整を依頼
9/3 自民党に対して報告書の説明
9/4 公明党に対して報告書の説明
9/5 教育委員会が議会事務局に対し、自民党・公明党以外の議員に報告書の配布を依頼
9/6 議会事務局職員により、問題の文書を添付した状態で自民党・公明党以外の各議員の机上に報告書を配布。同日16時頃、企画部長から教育委員会への連絡により教育委員会は文書に問題があると認識
9/9 18時50分頃、教育委員会より「文書の件で明日経緯を説明したい」旨の電話あり(他の会派・議員にもあった模様)
9/10 朝から共産党、立憲フォーラム、生活者ネット、無所属議員に順次教育委員会から説明。但し、私含め4名の無所属議員には説明間に合わないまま、10時の予算特別委員会開会時刻を迎える。

そして委員会が開会。直後に自民党の稲垣議員と共産党の藤岡議員が手を挙げますが、委員長は稲垣議員を指名、「教育委員会が作成した文書に我が党の名前が書かれているとのことだが、どういうことか確認したい」という趣旨の発言があり、委員長が休憩を宣言しました。

この後、自民党・公明党以外の議員が応接室に集まり、今後の対応を協議。私もこの中に入りました。まずは、無所属議員4人が何の説明も受けておらず、またすでに説明を受けたところも少しずつ説明が異なっているようなので、教育委員会に説明を求めようということになり、午前中は教育委員会から説明を聞くことにしました。この間、委員長・副委員長と議会事務局長が何度も訪れ、理事会(各会派の代表者が集まり、委員会の進め方を話し合う)を開催するよう求めましたが、教育委員会からの説明を受けて事実の共有をしてからだと拒否しました。

結局この日は夕方まで委員会を再開できず、翌日への「延会」を決めて終了。2日目も午前中は空転が続きました。この間問題になったのは、稲垣議員の発言は議事進行とも動議とも言っていない不規則発言にあたるもので、これを取り上げて委員会の案件に加えるのは議会のルールに反するという意見と、委員長の裁量権の範囲だという意見の対立でした。

この対立が解消しないまま13時10分に委員会が再開すると、すぐに無所属の納田議員が「議会ルールに則っていない」と、稲垣議員が「委員長の裁量権だ、続けてほしい」と発言。委員長は委員会を続行しようとしました。これに納得しない納田議員が「議事進行!」と複数回にわたって声を上げますが、委員長がこれを無視したため、納田議員から「委員長不信任動議」が提出されるに至りました。直後に公明党の佐藤議員が「休憩動議」を提出、委員会は休憩に入りました。

最終的には、今回は委員長の裁量で取り上げるが、先例にしないということで一定の決着をみて委員会が再開。教育長からのお詫び、教育部長からの経緯の説明があり、質疑に入りました。

質疑はすべての会派、無所属議員が行いました。出された主な質問、意見は以下のような内容でした。
・説明は教育委員会側から「させていただきたい」というので受けたもの。我々が求めたかのように誤解される。
・公文書に政党名を入れるなどというのはあり得ない。
・議会に対して丁寧に説明をとは求めたが、一部の人間に説明しろなどとは求めていない。
・甚だ迷惑な話である。教育委員会の政治的中立性をどう考えているのか。
・再発防止をどう考えているのか。議員に対する軽視、差別である。
・執行部の大失態だ。2日間正常な委員会ができなかった責任はどう考えるか。
・これは事務処理上の問題ではない。これまでもこのやり方でやってきたのか。
・説明するなら(議員全員を集めての)全員協議会で行えばいいのではないか。
・自公以外には何の連絡も取っていない。机上配布で済ませようとしたのではないか。
・議員は選挙によって選ばれており、その身分は平等である。
・この文書は議員格差を決裁しているものだ。議会との関係をどう考えているのか。

これに対して、以下のような答弁、説明がありました。
・すべての議員に説明するつもりだった。9日に文教厚生委員会がありその準備があったため、それ以降に自公以外の会派にも連絡するつもりだった。(※自公には9月2日に連絡して調整しています)
・業務の多忙、コミュニケーションの欠如が気がつかなかった原因である。
・事務処理適正化委員会を組織した。今後研修を行っていく。
・(市長発言)教育委員会に適切な対応をするよう指示した。二元代表制の法の趣旨は理解しており、均衡と抑制を図りながら今後も進めていく。
・(教育長発言)チェックが不十分だった。責任は最終決裁者である私にある。

結局、この日の委員会が終わったのは22時20分。もともと予定していた補正予算の審議に入ったのは翌3日目となりました。

この2日間の空転劇では、色々と考えるものがありました。確かに今回発覚した文書、その背景にあるこれまでの体質に問題があったことは厳しく指摘しなければなりません。しかし一方で、丸2日間委員会がストップしたことは、市民の皆さんに理解されにくいと思います。当事者は「こちらが正しい、相手が悪い」と言いがちですが、冷めた目で見れば「どっちもどっち」と思われてしまうかもしれません。

まだまだ議会経験の浅い私ですが、今回の経験を、もしまた同じようなことが起こった時(起きてほしくないですけど…)、自分はどう行動したらいいのかを考える糧にしていきたいと思います。

※公開当初、「教員委員会」という表記が何ヶ所かありました。「教育委員会」の誤りでしたので訂正しました。

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