暫定予算に「賛成」するも、議会への情報提供に関し苦言

3月8日から開催された第1回定例会が昨日3月30日で閉会しました。令和3年度の暫定予算は賛成多数で成立。私も悩んだ末に賛成しました。しかし、決して課題がなかったわけではなく、特に公園の指定管理者の選定にあたって、情報隠しと言われかねないような事態が起こったことは問題で、厳しく指摘しました。

以下、3月23日から3日間行われた予算特別委員会での私の質問の要旨と、3月30日に行った意見を付したうえでの「賛成討論」を掲載します(実際の発言はこれと異なる場合があります)。

【委員会での田村の質問】

■ASTA VISIONでの議会広報の可能性
田無駅北口ASTA VISIONの放映枠は、3分の1が市で3分の2が事業者。市の枠の放映内容については各担当課からの要望を先着順で受付。議会からも要望があれば流すのは可能とのこと。「○○日から市議会が始まります」や「市議会でこんなことが決まりました」といった映像を流すのもありかなと思いました。

■旧市民会館跡地の官民連携施設の見通し
当初計画では令和4年度のオープン予定でしたが、今年度解体工事を見送ったため、少なくとも令和4年度中のオープンは「現実的ではない」との答弁。この建物は耐震改修促進計画で耐震性に課題ありとされているので、利用者はいないとはいえ早期対応を望みます。

■定員大幅超の過密学童対策
令和2年4月1日時点で東学童、本町学童、向台第三学童が定員の200%超と特に過密、他にも大幅定員超過のクラブが多数です。担当課答弁は「特別教室や少人数教室の利用について教育委員会、学校と調整する」と毎年同じ。子どもがど真ん中を掲げる市長に「本気で取り組め」と強く要望しました。

■中央図書館・田無公民館耐震改修の必要性
耐震改修促進計画で公共建築物の耐震化率を令和2年度までに100%とする目標がある、休館期間を最小限にするため4/1から休館し工事に入りたいとの説明。休館中の対応、特に公民館利用のサークル・団体等への説明状況について確認しました。

■市立公園指定管理に関わる議会への情報共有遅れ
市立公園の指定管理委託業者で、社員の一部が施工管理業者の資格を不正に取得していた問題。昨年6/18に市が把握しながら、第三者委員会の調査結果が出た後3/22まで議会に報告せず。「指定管理業務に直接関係しないから」という説明ですが、議会審査が変わっていた可能性もあり、重大な問題と指摘しました。

【本会議での「賛成」討論】

議案第7号 令和3年度西東京市一般会計暫定予算に対し、賛成の立場で討論いたします。

池澤市長就任後初の予算は、令和3年4月から6月まで3ヶ月の暫定予算として編成されました。歳入は88億5449万3千円、歳出は171億5407万3千円となっています。暫定予算となった理由について、池澤市長は所信表明において、コロナ禍の影響による財政状況が不透明であることと、市長選挙で訴えてきた施策の方向性を予算にしっかり反映させるため、と述べておられます。その上で出された暫定予算編成についての通知では、年度当初に速やかに対応しなければ市民生活に多大な影響を及ぼす恐れのあるものを除いて、裁量の余地のない経常的経費など、暫定期間中に必要となる最小限度の経費に限り計上することとされました。
つまるところ、暫定予算はあくまでも暫定であり、市政運営上の様々な課題の多くは当座先送りした内容となっています。具体的な課題として、年々在籍数が増える中、根本的な解決が進まない学童クラブの過密化や、教員の働き方改革といった子どもに関わるテーマを取り上げさせていただきましたが、子どもがど真ん中のまちづくりを掲げる池澤市長がどのような本予算を編成するのか、今後に注目させていただきたいと思います。

その上で、暫定予算に盛り込まれた事業の中から2点について意見を申し上げます。

1点目は、西東京いこいの森公園等指定管理についてです。
令和3年4月1日から令和8年3月31日までの指定管理者の選定にあたっては、昨年7月1日から公募が行われ、応募した1団体に対し選定委員会が審査を行った結果、西東京の公園・西武パートナーズを指定管理者候補として選定し、12月4日の建設環境委員会で審議、12月15日の本会議で指定議決を行いました。
しかし、本暫定予算の審査直前に、代表団体である会社を含む4社において、社員の一部が建設業法に基づく施工管理技士の資格を不正に取得していたという事実が議会に対し初めて情報提供され、この説明のために審査時間が大きく削られる結果となりました。
委員会審査で明らかになったのは、昨年6月18日に西武造園株式会社からこのような不正行為があったことを国土交通省に報告したとの報告を担当部署が受け、6月22日には当時の池澤副市長に報告、丸山市長にも共有されていながら、公園の指定管理業務には直接関係がないといった理由から、選定委員会に対しても、議会に対しても情報提供はしなかったということです。
今回の選定委員会による評価は非常に高く、仮にこの件について情報提供されていたとしても、結果として選定結果や、議会の議決は同じ結論になっていたかもしれません。しかし、指定管理者に関わる法令違反という重大な事項について知らされないまま選定が進んでいったことは、当時建設環境委員会のメンバーの一人として関わった身として大変残念と言うしかありません。この件では多くの議員が苦言を呈していますが、あまりに問題として認識する感度が低かったか、あるいは指定管理者の選定が滞ることのないように意図的に隠したかと思われても致し方ないと思います。
加えて、今般議会への情報提供が暫定予算審査当日の朝になったことについても、第三者委員会の調査結果について電話連絡を受けた3月15日から8日も経ってのことであり、池澤市長は「ちょっと遅いな」と感想を漏らしておりましたが、ちょっとどころではなく遅すぎると申し上げます。私は、行政にとって不都合な、不利益となる内容こそ迅速に情報提供、情報開示することが結果的に問題を最小限にとどめる上で極めて重要と考えておりますので、今後にあっては十分留意いただくようお願い申し上げます。

2点目は、中央図書館・田無公民館耐震補強等改修事業についてです。
私は元来、統合庁舎は将来の現地建て替えにも対応可能な保谷庁舎敷地に建設し、田無庁舎敷地は図書館・公民館やホール機能を備えた教育文化施設として再整備し、総合窓口を併設することを提案していましたが、暫定的な対応方策により田無第二庁舎が完成することとなり、この構想を今すぐに実現することは難しくなりました。また、令和2年度予算の討論では、市民活動場所の空白期間をできる限り埋める視点から、旧市民会館跡地に建設される官民連携施設が令和4年度オープン予定であることを踏まえ、令和3年度の工事は凍結できないかと主張しましたが、コロナ禍の影響により市民会館の解体工事が実施できず、官民連携施設の令和4年度中のオープンは現実的ではないとの答弁もあり、今後のスケジュールは見通せない状況です。
一方で、耐震改修促進計画に定める令和2年度末までの耐震化が求められる公共建築物のうち、診断により耐震改修の必要がないとされたものを除くと、中央図書館・田無公民館が未対応であること、利用者、団体の皆様への丁寧な対応をしていただいていることを審査の中で確認し、一定の理解をさせていただきました。現実問題として、4月1日からの休館を目前に控え、4月1日から田無総合福祉センターに田無公民館(仮)活動室を、5月1日からイングビル3階に中央図書館臨時窓口を開設するなど、休館中の対応についての市民周知も進んでいることを考えると、耐震補強等改修事業による耐用年数の延伸という形は本意ではありませんが、暫定予算への計上は受け止めるべきとの結論に至りました。
言うまでもなく田無駅は西東京市最多の乗降客を数える駅であり、南口駅前広場事業が進む中、文字通り西東京市の玄関口としての役割を果たし、さらに発展していくことが期待されています。その田無駅南口にあるきらっと、田無公民館、中央図書館、自転車駐車場、イングビルと連なる施設群は、エリアの価値を高める上で非常に重要です。中央図書館・田無公民館耐震補強等改修工事終了後の新たな耐用年数も見据えた上で、田無駅南口エリアの価値向上に向けた夢のあるビジョンを、市民参加により描いていただくよう希望いたします。

以上、2点について意見を申し上げた上で、本暫定予算に対する賛成討論とさせていただきます。

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