ご報告が遅くなりました。6月20日に閉会した第2回定例会の議決結果一覧を掲載します。今回はいつも以上に賛否が拮抗する案件が多く、以前のように自公が数の力で押し切るという構図ではなくなっていることがわかります。
早速、賛否が分かれた議案について見ていきましょう。
議案第30号 令和5年度西東京市一般会計補正予算(第3号)
長井議員のみ反対。反対討論では、新型コロナウイルスワクチン接種の効果についての疑問、プレミアム応援カードを高齢者層に無償給付するが、一番応援が必要なのは30代から50代の働き盛りの世代ではないかという点を指摘していました。
私も、プレミアム応援カードの高齢者への無償配布は喜ばれはするとしても、限られた財源の使い方として適切なのかは疑問ですが、非課税世帯への給付金や子育て世帯への市独自給付金など、必要とされる層への支援が多数盛り込まれていることから、課題を指摘しつつの賛成としました。
議案第34号 西東京市市税条例の一部を改正する条例
共産党が反対。2024年度から個人住民税の均等割に1000円上乗せして徴収される森林環境税に関連して、個人だけではなく温室効果ガスを排出する企業・法人への負担を求めるべき、また配分においても人口の多い都市部に多額の配分がされるなど矛盾があるなどとする反対討論がありました。
議員提出議案第4号 トイレの設置の在り方についての意見書
これが賛否の分かれ方という点では今議会の一番の見どころだったかもしれません。自公の間でも賛否が割れ、退席者も6名出るなど最後の最後まで結果が見えない展開でした。
意見書の内容は「不特定多数が利用する施設では、可能な限り男女別トイレと独立個室型トイレを併設することが理想的」といったもので、反対討論では「趣旨には概ね賛成だが、今国会のLGBT理解増進法の審議・採決経過を踏まえると、性的少数者への差別の助長につながりかねない」「市民からの要望のない中で意見書の乱発と指摘されかねない」といった指摘がありました。私としては、最後まで討論を聞いたうえで、意見書の趣旨そのものに反対ではないが、様々な懸念から賛成もできないと考え、最終的に退席という判断をしました。
議員提出議案第5号 幼稚園・保育園における補助金不正受給の徹底的な是正と解明を求める意見書
全国の幼稚園や保育園で補助金の不正受給が頻発していることを踏まえ、国と東京都に補助金不正受給の徹底的な是正と解明を求めるものです。自民、公明、無所属(小峰議員)が反対に回りましたが、立憲、共産、維新・国民、生活者ネット、無所属(納田議員、長井議員、田村)の賛成多数で1票差の可決となりました。昨年の選挙以前だとこのような構図では否決されてしまっていましたが、市議会の構図の変化が結果に表れました。
議員提出議案第6号 改正出入国管理及び難民認定法の抜本的見直しを求める意見書
政府に対し、人権上、極めて課題の多い改正入管法の抜本的見直しを強く求めるものです。上記の議員提出議案第5号とほぼ同様の構図になったものの、維新・国民の2人が反対に回ったため、否決されました。
なお、上記3件の議員提出議案の本文は西東京市議会のホームページで公開されています。
請願第1号 「消費税率5パーセントへの引下げを求める意見書」を政府に送付することを求める請願
請願と陳情の違いは、紹介議員がいるかいないかです。紹介議員は、提出者の意見を代弁する立場になります。今回、審査された企画総務委員会では、3名の紹介議員が質疑を受けることとなり、議員対議員の質疑という普段あまり見られない光景がありました。関心のある方は以下の中継映像をご覧ください。該当部分は23分17秒あたりからです。
YouTube 西東京市企画総務委員会(令和5年6月12日)西東京市議会常任委員会中継(第3委員会室)③午後
さて、委員会で不採択となったこの請願は、本会議でも同様に不採択となりました。賛成・反対双方から討論があり、「消費税の増税分の大半は大企業・富裕層への減税の穴埋めに使われており、増税の度に落ち込む個人消費回復のためには消費税減税が必要だ」「地方消費税交付金としてなくてはならない貴重な財源となっており、消費税財源がなければ幼児教育・保育の無償化や待機児解消は成り立たない」といった意見が戦わされました。私も後者の意見に概ね賛同で、社会保障費が増大する中、重要な財源となっている消費税を引き下げる判断は現実的には難しいと考え反対しました。
陳情第7号 西東京市議会の議会報告会の開催を求める陳情
私だけが賛成討論を行いました。極めて正論を述べたと思うのですが、結果は不採択でした。余談ですが、議場に呼びかけて賛否態度を変えようと説得するという討論の趣旨から、「あの討論はよかったよ」と複数の議員から言っていただきました。まあ結果は非常に残念なのですが。反対する側にも反対の論理があったと思うので、議場でそれを聞きたかったです。私の討論を長くなりますが掲載します。
陳情第7号 西東京市議会の議会報告会の開催を求める陳情に「賛成」の立場で討論いたします。
本陳情は、西東京市議会が、議会としての説明責任を果たすとともに、市民の意見を把握するために、定例の議会報告会を開催するよう求めるものです。
陳情趣旨にもある通り、早稲田大学マニフェスト研究所が2022年6月に公開した「議会改革度調査2021」によれば、回答した1355議会のうち、議会の会議以外にも議会に参画できる機会や制度として、議会報告会・意見交換会を開催しているとの回答は792議会にのぼっています。その数は年々増加しており、本市の隣接市においても、武蔵野市、小金井市、小平市において「議会報告会」や「市民と議会の意見交換会」と題する会が開催されています。
住民にとって一番身近な議会である自治体議会の重要性については、ここで改めて言うまでもありませんが、新型コロナウイルス感染症対策や、子育て支援策など、ここ数年は地方自治体の独自の施策が注目を浴び、それらの施策を審査し決定する地方議会の役割はますます重要度を増していると考えます。そうした中、本市においても市民がより一層市政に関心を持ち、参画する場を求める声が上がるのは当然のことと言えます。
当市議会においても、私が当選してから4年余りの間に、YouTubeを活用した常任委員会の試行配信、わかりやすくより親しまれる紙面を目指した議会だよりの刷新、市議会ホームページのリニューアルなど、議会改革の取り組みが進みました。議会として市民の声を聞く広聴機能についても、議会運営委員会の協議事項として、複数の議員、会派からこれまでにも出されています。
目下のところ、予算特別委員会・決算特別委員会のインターネット中継の実施を最優先課題として取り組み、その他の課題についてはその後の議論であり、議会報告会についても、実施方法など詳細については検討が必要であることは理解しています。しかし、そのことが本陳情に足踏みする理由とはならないはずです。
陳情者は、議会報告会の開催を求めていますが、その具体的な手法や時期等についての言及はしていません。私は、それらは議会において判断、決定すべきものであるとの考えから、あえて詳細には触れない書き方をしているのではないかと推察します。
そうであれば、議会における広聴機能の拡充という方向性について否定する考えでない限り、本陳情に反対する理由はなく、万が一にも本陳情が議会の多数をもって不採択とされた場合、西東京市議会が議会報告会の開催を拒否している、市民の声を聞いてほしいという要求を拒否しているというメッセージを発信することになってしまいます。
開かれた議会を標榜する西東京市議会において、そうした判断を示すことは決してあってはならないと考えます。議場の皆様の賢明なご判断を期待し、私の賛成討論といたします。
陳情第12号 介護保険ベースアップ等支援加算の交付金への取組に関する陳情
令和4年10月からの介護職員等ベースアップ加算を、利用者負担ではなく行政からの交付金・助成で行うべきとの内容です。私としては、趣旨は理解したものの、国の制度であり市として対応できるものではないと考え反対しました。
陳情第15号 公民館だよりの広報に関する陳情
「公民館だより」が令和2年5月から1部4面から1部2面に縮小され、1部4面は年間2回の不定期発行となったが、これを年間6回の隔月にしてほしいというものです。この件は、令和元年度の事務事業評価で「抜本的見直し」とされたことを受け、公民館運営審議会で意見をもらい、現在の発行形態に落ち着いたという経緯もあることから、この経緯は尊重すべきであると考え、また紙面に頼らないSNSやHPと連携した広報にも努めるよう委員会で意見した上で、反対しました。
なお、市民から提出された陳情としては、「いこいの森公園スケート広場修復に関する陳情」「地域博物館建設の具体的な検討に関する陳情」が全会一致で可決されました。