再びの空転 本会議1日半ストップの裏側

先日記事を掲載した予算特別委員会に続いて、本会議も1日半ストップしました。その間何が起こっていたのか、私の立ち位置からの見方になってはしまいますが、書かせていただきます。

過日、教育委員会が議会に報告書を提出するにあたり、特定の会派のみに事前説明を行ったという内容を記載した公文書を作成し、議長宛に提出したという事案がありました。本会議の空転はこの延長で起こったと言えるものです。

9月18日(水)の10時、本会議冒頭で自民党の稲垣議員が動議を提出、この教育委員会の文書と、もう一つ別の問題(下水道事業会計予算の説明書に誤りがあった)を合わせ、市長と教育長の責任を問う「不適切な事務執行に関する問責決議」が議題となりました。

ここではいくつかの問題がありました。稲垣議員が動議を提出すると同時に、立憲フォーラムの森しんいち議員も「動議!」と声を上げ、その後も手を挙げ続けていました。「賛成!」の声もあり動議として成立していたにも関わらず、議長は稲垣議員の動議を取り上げて議事を進めました。西東京市会議規則では、「他の事件に先立って表決に付さなければならない動議が競合したときは、議長が表決の順序を決める」とあります。議長は順序を決めてよいのですが、順序を決めるためには内容を聞かなければなりません。2つの動議の内容を確認して、「ではこちらから」とすべきものを、森しんいち議員の動議は内容すら聞かれなかったのです。

また、通常議事日程にない議案を追加する場合は、議会の進め方を決める「議会運営委員会」の場に諮ります。ところが、この議運が開かれることもなく議事が進み、事務局職員が事前に人数分用意された決議文のペーパーを配りました。そのペーパーにはすでに「議員提出議案第12号」と印刷されていたのです。

あまりに議事がどんどんと進行してしまうため、無所属の森てるお議員が休憩の動議を出します。ちょっと待ったをかけたのです。ところが議長が休憩するかどうかを採決にかけ、自民党・公明党が揃って反対したため休憩を取ることすらできません。

さらに問題は続きます。議案を採決する際はその前に必ず「討論」が行われます。「このような理由で賛成だ」「このような理由で反対だ」と述べるものです。これが終わらなければ採決には進まないのが会議規則に書かれたルールです。もう討論はないかどうかを確認し、「これをもって討論を終結いたします」と言う必要がありますし、討論を省略する場合も、必ず「討論を省略することにご異議ございませんか」といった確認があります。ところが、今回議長はこの討論に一切触れずに「採決を行います」と言ってしまった(この点についてのみ、後に非を認めています)。とにかく早く採決してしまいたいと気持ちがそうさせたのか?と思うような進行です。

普通ではない展開に自公以外の議員が呆然とする中、自公の議員がさっと賛成の手を挙げて決議は可決となりました。これはおかしいと、無所属の納田議員が「なぜ討論がなかったのか」、森しんいち議員が「私もずっと動議と言って手を挙げていたのに、なぜ指されなかったのか」と発言。これに対し議長は「もう可決されましたから」「動議でしたら今出してください」といった回答をしたため、これに反発して本会議がストップしました。

もちろん、「採決します」となった瞬間におかしいと止めていればよかったではないかという声もあるでしょう。しかし、私よりずっと議会経験の長い先輩議員も含めて、あまりのスピード進行に呆気に取られていたというのが正直なところです。

本会議がストップした後、自公以外の議員(共産、立憲、生活者ネット、無所属)が集まり、今後の対応を協議しました。日頃はそれぞれ数名の会派や無所属で活動していますが、議長に対し公平公正な議会運営を求めるため、まとまって行動した方がいいだろうという判断からです。ここでの一致した見解は、「この間の議長の議事進行には問題がある。この間の議事を取り消し、改めて動議の提出の場面に立ち返り、ルールに則って進行してほしい」というものでした。

この要求を議長と議会事務局長に対して複数回行い、その度に「持ち帰ります」ということになるのですが、「もう採決は終わった」「動議は一つずつ処理していこうと思った」といった説明で、こちらの求めに応じる様子はなく、平行線のまま時間だけが過ぎていく状況でした。

膠着状態が続く中、21時30分になって議会運営委員会が開かれ、多数決により自民・公明の賛成多数で翌19日に本会議を開くことになり、21時50分から延会手続きをするための本会議が開かれました。ここで非自公側からの「対抗手段」として、森てるお議員から「議事日程の変更を求める動議」が提出されました。この動議の内容は、今日(18日)に終わらなかった議事は30日の本会議で行い、明日(19日)からの決算特別委員会は予定通り開催せよというものでした。

この動議については正直私の中に少々戸惑いがありました。補正予算の成立が遅れるため、10月1日から開始される幼児教育・保育の無償化や、各種システムの改修等に影響が出るのではないかと思われたからです。しかしその一方で、このままの膠着状態が続くようならそれこそ時間の無駄で、本会議の開催をペンディングにして決算審査を粛々と進めるというのは一つの方法かなとも思いました。補正予算が成立しない影響についても、先輩議員からは「予備費の流用など、対応するすべはある」と聞かされ、賛成することにしました。結果的には1名退席者が出たことから13対13の可否同数となり、議長の裁決により否決されました。まさに1票をめぐる水面下の駆け引き、切り崩しを見たような気がしました。本会議が終わり、今後の対応を話しあった時点で、日付は替わっていました。

翌19日、非自公側としては、前日の採決のやり直しは難しいとしても、自分たちの考える決議を提出し、しっかりと討論も行い、問題点を開かれた場で主張し、議事録に残そうと考えていました。しかし、提出段階で「このままでは一事不再議によって却下されてしまう」ということがわかりました。一事不再議とは、一度議決した内容と同じ案件は再び審議しないという原則です。そこで、一事不再議と言われないように決議の趣旨を変えて出そうという議論になりましたが、話はまとまらず、決議は出さないということになりました。

この調整のために時間がかかり、結局本会議が正常化したのは13時45分でした。その後は委員会審査報告、採決が粛々と進み、17時15分に散会しました。

以上が1日半にわたってストップした本会議の内幕でした。
私の立ち位置(非自公側)からすると、議長の議事運営はルールを無視していた。あくまで議会規則に則った議事運営を求めていただけだということになります。
一方自公の側から見ると、議長は自らの裁量権の中で議事を的確に進行した。それを採決が終わってから騒ぎ立てるのはおかしいということになるのでしょう。

この評価は皆さんに委ねたいと思いますが、本来は議会と執行部の関係に端を発した問題で、議会がまとまって執行部に申し入れるべき話だったのに、結果として議会内の対立になってしまったことは率直に残念です。国会の与野党対立で審議がストップといったニュースを見るにつけ「何やってんだ」と思いますが、市議会でも同じようなものかと思ってしまいました。

正直、この間のことで肉体的にも精神的にも非常に疲れました。今の私にできることは、議会ルールについて改めて一つ一つ勉強し、今後に生かすことかなと思っています。

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