令和2年度決算審査で23項目の質疑 取り消された答弁とは?

9月15日から22日まで、決算特別委員会が開かれました。決算審査とは、「令和2年度に西東京市に入ってきたお金、使ったお金はこうでしたが、問題ありませんか」という議案に対し、様々な角度から質問をし、「問題なし」か「問題あり」かを判断するというものです。私は、与えられた時間の中で計23項目について質問を行いました。

中でも色々な意味で問題があったのが、防災行政無線戸別受信機の配付状況についての質疑です。防災行政無線戸別受信機とは、聞こえづらいとの声もある防災行政無線の放送内容を、屋内に設置する戸別受信機にも同時放送できるというもので、昨年7月の補正予算第6号に約1億3000万円の事業費が計上されました。災害時に配慮が必要な避難行動要支援者、災害時要援護者を対象とし、1万台を購入したものです。新型コロナウイルス感染症対策事業の一つとして、財源は全額国の臨時交付金です。
ところが、8月31日現在、1万台購入した戸別受信機のうち、わずか40台しか設置されていないことが明らかに。聞くと、市内の白子川、石神井川周辺の溢水エリアに一軒ずつ確認しながら回っているため、設置が進んでいないとのこと。これ以外に民生委員の方132名にもお渡ししているとのことですが、足しても全体の2%に満たない数字。残りは防災センターで眠っているというのです。
配付スケジュールの見通しが甘く、とりあえず国からお金が出るから買ってしまえ!ということだったのか。このままのペースでは大量の戸別受信機が眠ったままになってしまいます。関係部署、警察、民生委員等と連携して加速させるとのことですが、速やかに動いていただきたい。市の懐は痛まないからと、国や都からの交付金、補助金を使う事業にはこのような見通しや費用対効果の精査が不十分な事業が多いように思います。
この質問を含めた私の質疑は30分ほどで11時に終わったのですが、まだ続きがありました。別の議員の質問が続いて、昼休みになり、13時に再開した後、危機管理担当部長から「誤解を招く発言があった」とのことで休憩に。私が午前中に行った質疑の答弁を訂正したいというのです。やり取りは以下のようなものでした。

Q:資料には設置台数40台とある。何月何日現在か。残りの台数はどうなっているか。
A:8月31日現在である。アポを取り一軒ずつ説明して設置している。残りは防災センターにある。
Q:驚いた。このペースでいつ終わるのか。いつまでにどのくらい設置する想定だったのか。
A:台数とスケジュールは検討段階でリンクしていない。まずは溢水エリアの白子川、石神井川エリアを優先している。
Q:詰めが甘いのではないか。
A:———————。今後は関係部署、警察、民生委員とも連携して配付を加速する。

調整の結果、———————の部分について、「戸別受信機の貸与が進んでいないことは、課題があると認識しております」と訂正されました。
訂正前の答弁は議事録にも残りませんのでここでも書きませんが、ある意味、担当課の率直な答弁だったと思いますし、趣旨も大きく変わっていません。その後、「配付を加速する」とも言っているので、質問者としては反省すべきは反省して、これからしっかり取り組んでくれということで終わった話なのです。
答弁の訂正というのは決して珍しいことではなく、言い間違い、事実誤認、あるいは公になっていないことを言ってしまった場合など、発言の取り消しや訂正を申し出ることはあります。しかし、今回訂正されたのは担当課の認識についての答弁です。このやり取りで委員会は2時間40分ストップしました。そこまでしてなぜ答弁を訂正したかったのか、何を守りたかったのか。不可解です。本音のやり取りができなければ、議会答弁は無味乾燥した当たり障りのないものになりますし、答弁に立つ部課長も委縮してしまうでしょう。

これ以外の質疑も一部ご紹介します。

■介護保険料の特別徴収誤り
Q:保険料徴収額と徴収率に与えた影響は。
A:金額にして657万4500円。マイナス0.2%の影響があった。
Q:郵送料ほか、対応にかかった経費は補正予算審査時に説明された883万7千円に収まったのか。
A:範囲内で収まった。予備費から充用した額、一般会計から繰り入れた額はほぼ執行した。他に、8・9月分の担当課の人件費として38万円余と試算している。
Q:職員人件費の時間外勤務手当が令和元年度比21.5%増えている。影響したのでは。
A:3年に一度の計画策定の年だった。コロナによる補助金対応などもあった。
Q:今回の特別徴収誤りが介護保険事業に与えた影響は。
A:介護保険に対する信頼を損ねることになり、大きな影響があった。予備費の充用や、補正予算の編成が必要になった。

■ふるさと納税
Q:令和2年度の金額、件数がともに増えた要因は。
A:厳密に確認できないが、一部報道ではコロナ禍で地元を応援する機運が高まったと言われる。下野谷遺跡整備や、新型コロナ対策など思いにかなう選択肢を用意できた。

■多言語通訳サービスの利用実績
Q:11月から3台導入したとのことだが、事務報告書では実績が6件にとどまっている。
A:年明けから市内の外国の方が立ち寄る店舗などにも案内を置いた。庁内周知も図り、今年度に入ってからは伸びている。

■市独自のPCR検査拡充は
Q:都補助による障害者施設、高齢者施設での検査は実施した。これは症状のない人に行うものだ。濃厚接触者でも検査が受けられない状況で、市が体制拡充せよというのがなぜできないか。
A:8月25日現在、市内42の医療機関で唾液による検査が可能。近隣市よりも体制は拡充されている。地域医療の確保という点も重要だ。

■各駅のタバコのポイ捨て状況
Q:昨年の4月27日から喫煙所を閉鎖。閉鎖することでポイ捨てが増えるなら問題だが、資料によれば全体としては減っている。喫煙所がなくてもポイ捨てが増えないならそれに越したことはないのでは。
A:確かに数値上は減っているが、苦情も寄せられている。現在の喫煙所は休止中であり、今後のあり方は検討する。

■タブレット端末のパスワード管理
Q:町田市の小6いじめ自殺ではタブレットのチャット機能が使われた。本市のタブレット端末のパスワード管理は。
A:英語の大文字、小文字、数字が無作為に並んだ1万4千人全員異なるもの。第三者に見せたり教えたりしないよう指導している。

■休校中の食材の扱い
Q:休校期間中の給食食材の扱いは。
A:可能な範囲でキャンセル。納品されたものは心苦しいが廃棄対応した。
Q:どれくらい前に連絡すればキャンセルできるのか。
A:食材により異なる。個別に業者と協議する。
Q:廃棄食材はゴミになってしまうのか。
A:土木や農業に活用される「人工軽量土壌」にリサイクルされる。

■成人式の代替
Q:令和2年度の成人式だけが会場に集まれなかった。代替の機会について検討は。
A:各中学校で同窓会的な取り組みを考えている。時期については引き続き検討する。

■図書消毒機について
Q:図書館に図書消毒機が導入された。耐用年数は。
A:おおむね6年だが、中のランプを定期的に取り換えることで寿命が延びる。
Q:壊れて直せないとなった場合どうするか。
A:今後検討する。

■図書館利用率について
Q:令和2年度の図書館の登録率が13.52%と大きく減少。要因分析は。
A:年度内に貸し出しがあったものを有効登録率としている。コロナによる休館が原因と考える。

Twitterでも発信中!

Facebookでも発信中!

PAGE TOP