市長減給条例可決・一般会計の決算認定には反対 第3回定例会最終日

9月27日が第3回定例会(9月議会)の最終日でした。この日は令和2年度決算の認定についての議決のほか、市長給料を3か月間50%減額する条例案、新型コロナ対策等の経費を盛り込んだ補正予算についても議決されました。各議員の賛否態度は以下の通りです。

まずは「西東京市長の給料月額の特例に関する条例」について。
10月から12月まで3か月間、市長の給料を50%減額(金額148万5千円)する内容です。提案理由について市長は、「令和2年度における介護保険料の特別徴収誤りなどの不適切な事務執行により、市民・市議会との信頼関係を損ねる結果となったことに対し、改めてその責任を明らかにするため」と説明しました。

もともとこの件では、昨年10月から5か月間、市長60%、副市長50%、教育長30%の減給となっていたところ、当時副市長だった池澤氏が12月16日で市長選挙準備のために退職。2か月半ほどの減給処分が「未実施」の状態だったこともあり、その後の対応が注目されていたのです。今回のタイミングでの提案となったことについて、8月の年金からの特別徴収により、介護保険料の特別徴収誤りの対応に一定のめどがついたことを理由に挙げています。

私が行った質疑は以下のような内容です。動画でもご覧いただけます。
西東京市議会インターネット中継(18分04秒から)

Q.提案理由である「介護保険料の特別徴収誤りなど」の「など」には何が含まれるのか。その後も不適切な事務執行があったと思うが。
A.副市長であった時の責任も含めて今回責任を取る。2月18日以降の市長としての立場も踏まえて提案した。

Q.具体的にこの件は事務処理上の問題があったと認識している問題はあるか。
A.直近でも市民税のシステム上の印字誤り、後期高齢者医療でもシステム上の誤り、特定検診の誤発送があった。逐次報告を受けて対処している。あくまでも今回の減給条例は介護保険、生活保護費関係を中心に考えており、直近の件とは別である。

Q.3か月50%の減給とした理由は。金額なのか、期間と割合が副市長時代の処分と同等ということか。
A.金額ありきではない。一つの基準としては考えているが、一対一ではない。(介護保険料の特別徴収誤りの対応は)残り12人まで来た。最後の一人までしっかり対応する考えのもと、10月から12月の3か月という判断をした。

Q.介護保険料の特別徴収誤りの対応、残り12名の対応のめどは。
A.追加徴収は残り5人。いずれも訪問・依頼済で9月中に完了のめど。還付は残り7人。死亡5名(相続放棄2名、受取人の選任待ち3名)、転出先で居住実態なし1名、市内で居住実態なし1名。相続放棄の場合は供託等の方法を考えている。

Q.本当に意味で責任を果たすのはお金ではない。事務処理の誤りを改善するためにどのような取り組みをしてきたのか。
A.首脳部会議などで日ごろからの事務執行の徹底、一人ひとりが自覚を持つ、何かあればすぐ報告するよう話した。万が一起きたら即時対応する。

Q.減給で責任を取ったと言うと、お金で終わりなのかと思われる人もいる。市の事務執行の体制をこう変える、変えたという市長からのメッセージを発表すべきでは。
A.今回の件に区切りをつけさせていただきたいという意味で、今後市報への掲載、職員向けのメッセージを出して私の考えを伝えていきたい。

私が訴えたかったのは、何か問題が起こったときに減給というのは一つの責任の示し方ではあるが、それは本質的な解決ではない。発生した経費を減給額で補填できたから良いというのは違っている。再発防止のための体制を作ることが本当の責任の果たし方だ、ということです。

次に「令和3年度西東京市一般会計補正予算(第5号)」について。
国から交付される地方創生臨時交付金と市の財政調整基金を活用し、障害福祉サービス事業者への支援、幼稚園・保育所等への補助、児童館・学童クラブの感染防止用消耗品購入、保谷こもれびホール・コール田無のインターネット環境整備、清掃事業者への補助、小中学校の感染防止対策用品やオンライン授業用のヘッドセットの購入などを行うものです。

内容に反対すべきところはないので賛成しましたが、質疑では腑に落ちないやり取りがありました。今回、幼稚園や保育園等で新型コロナの感染者が出て、事業者が独自の判断で検査を受ける場合や、検査キットを事前購入する場合に補助が出るとされました。しかし、私が8月31日に行った一般質問では、「感染が発生した施設での無症状感染者の発見のための検査キット等の導入について」質問したところ、担当部長から「保健所から、改めて医療機関等でPCR検査を要する検査のスキームの構築は控えていただきたいという旨の説明があった」と答弁されているのです。
そこで、その時と言っていることが変わっているのではないかと質問したところ、「広く一般の市民に広げるのは難しいという趣旨で答弁した。施設内での限定的な対応であれば以前からできる」などと答弁したのです。私は「一般の市民に広げる」などという質問はしていません。予算特別委員会の質疑はインターネット中継もされず、正確な議事録は数か月後まで待たないといけないのですが、まったく腑に落ちないやり取りとなりました。

最後に「令和2年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定について」です。
これは、要するに令和2年度に西東京市の一般会計に入ってきたお金はこうです、出ていったお金はこうですという内容に対し、問題があったか、なかったかを判断するものです。もちろん、良かったことも悪かったこともあるのが実際ですが、私は「問題あり」の判断、つまりは反対をしました。その理由は大きく2点です。

①繰り返された事務処理誤りに加え、議会への情報提供が十分でなく、信頼関係が損なわれたと考えること
②新型コロナウイルス感染症対策事業の中身、特に国や都の交付金を活用した事業の執行状況や見通しに課題があったこと、また、市民の不安を払しょくするだけの十分な情報発信が行われてこなかったと考えること

本会議で行った反対討論の原稿を掲載しますのでよろしければお読みください。なお、実際の言い回しとは違っている部分があります。また、動画でもご覧いただけます。
西東京市議会インターネット中継(1時間14分30秒から)

議案第71号 令和2年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場で討論いたします。

令和2年度一般会計歳入決算額は、計12回の補正予算による増額もあり、令和元年度比300億31万9808円、41.5%増の、1023億7515万7903円、歳出決算額は、令和元年度比287億7639万7400円、40.6%増の、997億3894万8822円と、過去に例を見ない規模となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大と、それに伴う市民生活への影響に対応するため、特別定額給付金給付事業や、ワクチン接種事業をはじめ、これまでにない事業に全庁を挙げて取り組んできた、現場の職員の皆さんには心より感謝と敬意を表します。ありがとうございました。

私は、令和2年度一般会計予算については反対の立場を取りました。しかし、だからといって、直ちに決算の認定についても反対するものではない、という考え方は、昨年の第3回定例会でも申しあげた通りです。その上で、改めて決算特別委員会の審査を通じ、令和2年度に適切な事務執行が行われていたと言えるのかを検討させていただきましたが、残念ながら反対の立場を取ることにしたものです。反対の理由を大きく2つの点に絞って申し上げます。

1点目は、繰り返された事務処理誤りに加え、議会への情報提供が十分でなく、信頼関係が損なわれたと考えることです。
一昨年、令和元年第3回定例会で「不適切な事務執行」が大きなテーマとなり、その1年後、つまり昨年の令和2年第3回定例会でも「不適切な事務執行」が大きなテーマとなってしまいました。市長部局において介護保険料の特別徴収処理の誤り、生活保護費の認定・支給漏れ、教育委員会において学校施設適正規模・適正配置に関する基本方針(素案)、中央図書館・田無公民館耐震補強等改修工事基本設計説明会資料の誤りが相次いで発覚し、市長、副市長、教育長の給料を5か月間、市長は60%、副市長は50%、教育長は30%減額するという非常に重い結果となりました。
私は、人間が行うことに100%の完璧はないとは思いますが、その後も事務処理誤り等が繰り返されていることに加え、議会への情報提供が十分でないことを大きな問題として指摘します。
介護保険料の特別徴収誤りが発覚し、その対応を進めているさなか、介護保険料の督促状を誤送付し、実際に誤送付された督促状に従い、介護保険料を納付する方が出るという重大な事務処理誤りがありました。この問題が発生したのは昨年10月のことでしたが、議会においてこの問題が明らかにされたのは、今年の6月、第2回定例会で同僚議員の質疑を受けてのことでした。その間、複数回にわたって文教厚生委員会が開かれ、介護保険料の特別徴収誤りの対応状況について所管事務調査を行っていたにもかかわらず、報告の必要がないと考えていたことは問題です。
また、これは市の事務処理誤りの事案ではありませんが、西東京いこいの森公園等の指定管理者に、法令違反の行為があったことについて、昨年6月に市として把握しながら、議会に対して報告があったのは、指定管理者の公募、建設環境委員会の審査、議決がすでに終わった後の、今年3月の第1回定例会、しかも予算特別委員会初日の朝であったことも大きな問題です。
私は常々、市にとって不都合なこと、課題のあることこそ積極的に情報提供することが、結果的に問題を最小限に抑えることにつながると申し上げてきました。改めて、議会と執行部との信頼関係を大きく損なわせる問題だったと厳しく指摘します。

2点目は、新型コロナウイルス感染症対策事業の中身、特に国や都の交付金を活用した事業の執行状況や見通しに課題があったこと、また、市民の不安を払しょくするだけの十分な情報発信が行われてこなかったと考えることです。
決算特別委員会の資料によれば、令和2年度の新型コロナウイルス感染症対策事業の対象事業費総額は239億円余りで、市の一般財源を充当した額は4200万円弱、多くが国の地方創生臨時交付金、東京都の市町村新型コロナウイルス感染症緊急対策特別交付金をはじめとする、国庫支出金、都支出金を財源として行われています。
委員会では、国や都の交付金を活用した事業の執行状況や今後の見通しに関する質疑が行われました。私が取り上げたのは防災行政無線の戸別受信機、多言語通訳サービス、図書消毒機などに関することですが、同僚議員からはこのほかにも、プレミアム応援券事業や、新たなビジネスモデル・経営革新チャレンジ支援補助事業など、様々な事業について取り上げられました。
私は、これらの事業が意味のないものとは思いませんし、利用された方、恩恵を受けられた方に話を聞けば、肯定的な評価をされ、感謝の言葉をいただけるのは当然のことです。しかし、想定された効果が出ているのか、そもそも想定を持っていたのか、どのように効果を測っていくのかについて、十分な検討が行われていなかったと思われる事業も散見されました。質疑の中でも同じことを申し上げましたが、仮に、全額市の一般財源を充当して行う事業だとしたら、このような進め方で行うのかという視点に立てば、見通しに甘さがあったのではないでしょうか。財源の出所がどこであったとしても、市民、国民にとっては貴重な税金であることに変わりがありません。本当に必要なところに、本当に必要なだけの予算が使われていたのか、より優先すべき事業もあったのではないかと思います。
このような中、令和2年度を振り返ってみますと、4月に東京都が都内の市区町村別の感染者数を発表するようになって以来、なぜ西東京市の感染者数は多いのかという疑問を、市民の方から受け続けてきたように思います。こうした市民の不安の声に対し、自らの言葉で見解を表明し、東京都や保健所に対して要望する市長もいる中、市民に届く言葉は十分に聞こえてきませんでした。コロナ禍にあるリーダーの姿として、残念だったと改めて申し上げます。

最後に、池澤市長に一言申し上げます。市長は、前丸山市長のもとで8年間副市長として支えてきた立場であり、令和2年度の事務執行に大きな責任を負っています。この丸山市政の継承を掲げて市長に就任されたわけですが、近くで見ていたからこそ、足らざる部分、もっとこうすればより良くなるという部分も感じてきたのではないかと思います。常に現場に足を運ぶ現場主義や、情報発信力の強化などがその一例ではないかと思います。
私は、6月の第2回定例会においてこうした点への期待を込めて、令和3年度予算については賛成の立場を取りました。どうか、1年後、令和3年度の決算認定こそ、気持ちよく賛成に手を挙げられるような状況になっていることを願いながら、令和2年度決算認定に対する反対の討論とさせていただきます。

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