新型コロナウイルス第5波の真っただ中で迎えた9月。全国の学校で分散登校、短縮授業、オンライン授業など様々な対応が行われる中、西東京市が選択したのはオンライン授業。それも、「超ハイブリッド」オンライン授業でした。
実際にお子さんを通わせていた方であればご存じのことと思いますが、西東京市の公立小中学校では、始業式を含む5日間を「スタートアップ期間」として児童・生徒の全員面談やグループ面談を行った上で、9月6日からオンライン授業に入りました。但し、全児童・生徒にオンライン授業のみを行ったわけではなく、以下のような内容でした。
小学1年生と固定制特別支援学級は通常通り登校、少人数で対面授業を行う
小学2年生以上は原則オンライン授業だが、家庭で学習するのが難しい児童・生徒は登校可
給食は全ての児童・生徒に提供できるよう準備、登校して分散した教室で食べることができる
このように、オンライン授業を基本としつつ、各家庭の事情にも最大限寄り添う。特に注目されたのが給食の提供です。食事が感染リスクが高いとされる中、黙食の徹底や教室の密を避けるため分散して食べるなどの対策をした上で、給食のみ登校するという逆転の発想と言えるものでした。
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そんな「超ハイブリッド」オンライン授業の現場を見るべく、9月30日に田無小学校と田無第四中学校を、生活者ネットワークの後藤議員、加藤議員、無所属の納田議員(四中のみ)と共に見学してきました。
※タブレットを活用した授業の様子は今年の5月と7月にも見学しています。
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まずは田無小学校から。1年生は対面授業。密を避けるため、担任の先生と専科の先生が協力して、2分割にして実施。2年生以上はオンライン授業ですが、登校している児童もいます。学校内に学童クラブが併設されていることもあり、低学年で学童クラブを利用している児童はそのまま登校しているパターンが多いそうです。2年生で3分の1から多いと半分程度の児童が登校。学年が上がるにつれて登校する割合は下がり、6年生は1クラス5人前後です。各家庭の通信容量の問題から、きょうだいで同時にオンライン授業に参加することが難しく、どちらがが登校するというパターンもあるそう。案内していただいた校長先生の話では、「学校か家庭かという参加する場所の違いであって、基本はオンライン授業。学校に来る子が特別扱いされるわけではない」とのことで、そういった点にも気を配っているのだなと思いました。
実際の授業の様子はというと、大人顔負け、というか大人以上に子どもたちがタブレットを使いこなしている様子がうかがえました。「ジャムボード」という自分の意見や考えをふせんに貼っていく機能を使ったり、チャットを使って先生の問いかけに反応したり。発言する際のマイクのオンオフも慣れたものです。各教室に設置された大型ディスプレイも活躍していました。
「こうしたことは1学期から教室でやっていた。それが家庭からになっただけ」と校長先生が話していた通り、1学期からの蓄積があったからこそ、今回のオンライン授業ができたのだと思います。
また、先生方がお互いの授業を見合って研修したり、若手の先生がベテランの先生にこういうやり方はどうかと提案したり、先生同士のチーム感も高まったと話されていました。
田無第四中学校では主に給食の様子を見学しました。中学生ともなると、ほとんどが家庭からのオンライン参加で、登校して授業を受けている生徒は数名とのこと。そんな中学生も、給食の時間になると8割から多いと9割近くが登校してきます。友達に会えることに加えて、気分転換のいい運動にもなっている様子。給食登校率は学校によりばらつきがあるものの、少ないところでも6~7割の生徒は登校するそうです。
友達同士、楽しそうにおしゃべりしている様子は食事が始まると一変。全員が前を向いて黙食です。あまりに静かすぎて耐えられないため、音楽をかけているとのこと。校内に音楽が流れる中、黙々と食べている様子はちょっと可哀想な気もしますが、これがコロナ禍での「当たり前」になっているようです。私が気になっていた食品ロスについては、先生が積極的におかわりを勧めていることもあって、大量に残るということにはなっていないようです。
生徒会選挙は告示や政見放送をオンラインで行ったとのことで、大人の選挙よりも進んでいます。また、校長先生の話では、不登校だった生徒がオンラインのクラスルームには顔を出すようになり、給食登校するようになった例もあるとか。こうした形で敷居が下がったという効果もあるようです。
先生方の間では、夏休み中に感染が急拡大し、このまま2学期が始まったら怖いという共通認識の中、1学期からタブレット活用を試してきた蓄積もあり、オンライン授業をするなら「今しかない」とまとまれたとのこと。親御さんからもおおむね好意的に受け止められたようです。
今後は、平時の授業でもさらにタブレットを活用した取り組みが進むと思いますし、災害時には自宅からのオンラインに切り替えるなど機動的な対応が可能になると思います。これからの学校にますます注目です。
※写真は許可を得て撮影しています。