不登校児童生徒のための体験型学校「八王子市立高尾山学園」へ

10月27日、不登校児童生徒のための体験型学校「八王子市立高尾山学園」を三多摩議員ネットワークの有志議員で見学してきました。場所は高尾駅からバスで15分ほど。統廃合によりなくなった小学校を利用して、17年前に設立されました。見学中に思いがけず雨が強まったのですが、案内していただいた黒沢校長の話によれば「山の天気ですので」とのこと。

当時の市長のトップダウンで設立された高尾山学園の大きな特徴は、大人の数が多く、子どもが少ないこと。東京都の基準に沿って配置された教員に加えて、市独自の予算で講師や補助員、心理相談員などを増員して手厚い体制が敷かれています。その額は年間5300万円。

八王子市には、「ぎんなん」「松の実」「やまゆり」という適応指導教室があります。このうち「やまゆり」は高尾山学園を目指したいという子どもが通う場となっており、高尾山学園の中に併設されています。現在「やまゆり」には103名が在籍し、同じ校舎内にある高尾山学園を、①大人が同行しての見学、②1人で行きたい授業だけに参加する学習体験、③朝から1日高尾山学園で過ごす生活体験、という3段階を経て、年間40~50名程度が転入していくとのことです。

高尾山学園のカリキュラムは1校時45分、午前中に1~3校時、午後に4校時、5校時(日による)が行われます。総時数は760時間程度。プラス行事等で90時間程度あり、合計850時間程度。これは通常の教育課程の2割減となります。

子どもたちの居場所として、プレイルーム、相談室、保健室が設けられており、授業中であっても教室にいられなくなった場合は出入り自由。そのため、つまらない授業をすると子どもたちが続々とプレイルームに抜けていってしまうこともあり、先生にとっても真剣勝負とのことです。

午後は八王子市内の施設に移動し、高尾山学園の設立経緯について都市教育研究所代表の幸地正憲さんにお話を伺い、参加者同士で意見交換する学習会を行いました。この中では、高尾山学園は「全国初の不登校のための学校を作るんだ」ということで始まったが、より身近な地域に「居場所」をつくる必要性もあるのではないかという話題になりました。

確かに、八王子市は人口56万人、面積は186平方キロメートルと広く、高尾山学園にはバスや電車を乗り継いで通う児童生徒も多くいます。自宅から歩いていける距離の学校に行けなくなった子どもたちが、慣れない電車やバスを乗り継いで高尾山学園まで通うというのは、自分に置き換えて考えてもかなりハードルが高いのではと思ってしまいます。

不登校支援はそれぞれの子どもに寄り添った内容が必要で、これという一つの支援策で解決するものではありません。先日訪問した川崎市の子ども夢パークも含め、不登校支援の様々な取り組みを参考にしていきたいと思います。

参考記事―ありのままの自分でいられる場 川崎市「子ども夢パーク」を見学

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