毎年この時期に開催されている「全国地方議会サミット」が7月10日・11日の2日間、早稲田大学国際会議場で開催され、今年も参加しました。会場参加450名、オンライン200名、計650名の参加があったとのことです。
今回のサミットのテーマは「非常事態への備え これからの議会」で、元日に発生した能登半島地震を受けて、災害対応や支援のあり方、最新技術やデジタル、各地の経験をどう活かしていくかについて考える2日間のプログラムとなりました。
初日のパネルディスカッションは、「能登半島地震被災地の議会からの報告」と題して、輪島市議会、珠洲市議会、能登町議会の議長、元議長が登壇しました。今もなお復興途上という状況から、発災直後の状況と、現状について報告がありました。また、議会活動という観点から、タブレットを使って被害状況を共有したこと、3月定例会を会期の短縮、一般質問の登壇者を絞るなどして対応したことなどが報告されました。
携帯電話がつながらず、全員の議員と連絡が取れたのは1月5日だったこと、被害想定の倍以上の避難者が発生し、食料がすぐに枯渇したこと、自主避難所が多く探しながら物資を支援したことなど、リアルな内容でした。
その後のセッションでは、2016年に熊本地震を経験した熊本市の大西市長が登壇。珠洲市の泉谷市長との対談が行われました。この中では、トイレ問題が話題になりました。熊本地震では全戸で断水し、通水完了までに2週間かかったこと、水道が通らないと応援にもなかなか入れないこと、その後マンホールトイレの整備を進めたことが報告されました。珠洲市でもトイレ問題が深刻になりましたが、全国から届いたトイレカーの存在が大きかったとの話がありました。
「東日本大震災の経験から」と題した元総務大臣の片山氏の講演では、震災当時政権の中にいた経験談から始まり、シナリオがあって原稿を読むような防災訓練をしていないか、普段の議会から原稿を読み合うようなやり取りはやめろ、といった議会の現状にも厳しい言葉がありました。
2日目は、東日本大震災の被災地から、久慈市議会の議長、陸前高田市の元議長、双葉町の町長が登壇してのパネルディスカッション。3月11日という当初予算審査の真っただ中で起きた震災で庁舎にあった資料やパソコンも被害を受け、誰か自宅に資料を保管していないかと探し、年度末ぎりぎりに中学校の校舎を借りて新年度予算を議決したといった当時のエピソードが語られました。また、議員が各々要望、情報提供した反省から議会BCPを策定、市議会災害対策会議が情報を整理して災害対策本部に提供する体制を整えたという話がありました。
この他にも、議選監査委員の活性化と議会・監査委員事務局の連携と題したパネルディスカッション、委員会代表質問を活かすと題したセッション、防災DXの最前線や、デジタル・生成AIをどう活かすのかという講演もあり、盛りだくさんで時間が足りないくらいの内容でした。
能登半島地震でも、熊本地震でも、東日本大震災でも、共通して聞かれたのは「想定を超える被害があった」という話です。常に最新の被害想定に沿って対策が取られているとは言え、過去の歴史を見ればその想定を常に超えてきてという事実があります。想定外の事態にもいかに対応できるかという力が問われていると感じました。