第2回定例会議決結果一覧 似て非なる意見書の採決結果は

真夏を思わせる暑さとなった6月17日、西東京市議会第2回定例会が閉会しました。いつものように議決結果一覧と、賛否の分かれた主なものについてその内容をお知らせします。

議員提出議案第2号 核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書

賛成13 立憲、共産、維新国民(鈴木)、ネット、無所属(納田、長井、下田、田村)
反対13 自民、公明
退席1 維新国民(山崎)
→可否同数により、議長裁決で否決

議員提出議案第3号 核兵器禁止条約の署名・批准に向けた環境整備を求める意見書

賛成17 自民、公明、維新国民、無所属(納田、下田)
反対10 立憲、共産、ネット、無所属(長井、田村)

一見すると同じようなことを言っている意見書に見えますが、立憲民主党の森しんいち議員が提出した第2号が「署名・批准を求める」となっているのに対し、公明党の藤田美智子議員が提出した第3号は「署名・批准に向けた環境整備を求める」となっています。

最終的に目指すゴールは同じ、と考えることもできますが、第2号が「唯一の戦争被爆国として一日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を行う」「それまでの間、オブザーバーとして締約国会議及び検討会議に参加するよう強く要望する」としているのに対し、第3号は「核保有国と非核保有国の橋渡しとして積極的な役割を果たし、条約の署名・批准に向けた環境整備を前進させる」「核兵器不拡散条約(NPT)の体制維持・強化に取り組む」というもので、その内容には違いがありました。

目指す方向性自体が間違っていないと考えれば、第3号にも賛成するという選択もありましたが、第2号に反対、第3号に賛成する自民党のとみなが議員は討論の中で、「核の脅威に対して通常兵器だけでは抑止を効かせられない。日米同盟の核の傘の下で、核兵器を有するアメリカの抑止力に期待することが必要」「オブザーバー参加は我が国の核抑止政策について世界に誤ったメッセージを与える」などと発言したため、第2号と第3号の間には大きな考え方の違いがあると考え、第2号に賛成、第3号には反対の立場を取りました。

結果、第2号についてはあと1票あれば可決となるところ、維新の山崎議員が退席したため可否同数となり、議長裁決での否決となりました。残念な結果です。

陳情第6号 学習者の声を教育政策に反映させることを求める陳情

賛成6 共産、ネット、無所属(納田)
反対21 自民、公明、立憲、維新国民、無所属(長井、下田、田村)

学習者の声を教育政策に反映させようと、中高生が中心に活動する団体のメンバーが複数自治体に提出したものと推察されます。陳情事項の中には、西東京市においてさらに取り組む必要がある内容もあったものの、西東京市の具体的な事情に即したものではなく、全国的に共通する課題を書いた内容という印象が強く、陳情者が具体的に本市のどのような施策に課題があると考えるのかが伝わってこない内容でした。そのため、採択とするのは難しいという判断になりましたが、当事者が声を上げたことに敬意を表しつつ、以下のような反対討論をしましたので掲載しておきます。

陳情第6号 学習者の声を教育政策に反映させることを求める陳情に反対の立場で討論いたします。

本陳情は、現在の教育制度において、学習者の声が十分に反映されておらず、関係のない大人たちのみで政策が作られているという現状認識に基づき、若者議会の設置や被選挙権年齢の引き下げといった政策プロセスの改革、教員不足と労働環境の改善、主権者教育の充実、別室登校やオンラインなど個別最適な学びの環境整備、課外活動と奨学金などの情報提供の強化、学習環境の見直しとして始業時間の見直しを求める内容です。

委員会審査において、多岐にわたる陳情事項の中には、被選挙権年齢の引き下げのように本市の権限の範囲外であるものや、すでに本市において取組が進んでいるものも含まれており、本市の現状を十分調べたうえでの陳情であるのか、違和感があるといった趣旨の発言がありました。

私も気になりましたので、調べてみたところ、学習者の声を教育政策に反映させようと、中高生が中心となって活動している「Students Changing Education」(SCE)という団体が、本年2月26日に記者会見を開き、全国15自治体に対し、教員不足をはじめとする教育の課題について、政策提言を陳情したことを報告したとする教育新聞の記事を発見しました。

それによれば、2月16日から26日にかけて、メンバーが分担して東京や大阪など15自治体に一斉に陳情・請願を行うプロジェクトを実施したとのことで、本陳情を受理した日にちや、内容から推察し、この団体のメンバーが提出したものと考えてほぼ間違いないものと思います。

実際に、ほぼ同一内容の陳情が、複数の自治体議会に対し提出されているようですので、本陳情は、本市の実態に即した内容というよりは、全国的に共通する一般的な課題としてまとめられた内容であると思われます。そのため、冒頭にも申し上げた通り、本市の権限に属さない事項や、本市においてすでに取組が進められている内容も含まれており、議会として採択し、執行機関に処理を求める内容としては、そぐわないのではないかと感じます。

一方、中高生が自らを取り巻く教育環境の課題について真摯に向き合い、陳情という手段を使って声を上げたことは大変うれしいし、心強く思います。陳情事項に書かれている内容、方向性には賛同できるものも多いので、本市の具体的な施策に照らして不足する点や課題があれば、これからも様々な方法で声を上げていただきたいですし、決して自分たちの要望が受け入れられなかったとは思わないでいただきたいと思います。

大きく6点挙げられた陳情事項のうち1点だけ、主権者教育の充実について申し上げますと、私自身、学生時代から主権者教育の機会充実に向けた取組に関わってきましたので、大いに賛同するところです。生徒会活動や校則の見直しなど、学校生活の中で大人が決めてそれを守るのではなく、自分たちのことは自分たちで決めるという意思決定の仕組みを実践していくよう、今後も求めていきます。

また、学校に政治家を招く制度づくりについては、教育委員会が主体となって実施することには課題が示されましたが、議会として企画し、実施していくことについては、各学校の学校長の判断になるとの見解が示されましたので、議会としてどのような取組が考えられるか、私自身、また議会にも課せられた課題として考え、提案していきたいと思います。

以上、賛否としては反対となりますが、今後も様々な形で当事者としての声を上げていただきたいことを期待して、討論といたします。

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