12月16日、西東京市議会第4回定例会が閉会しました。いつものように議決結果一覧と、賛否の分かれた主なものについてその内容をお知らせします。
議案第85号 西東京市後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例
議案第86号 西東京市市税条例の一部を改正する条例
賛成23 自民、公明、立憲、維新・国民、ネット、無所属(納田、下田、田村)
反対4 共産、無所属(長井)
いずれも、地方税法の改正に伴い「公示送達」の方法が見直されることによるものです。公示送達とは、納税通知書や督促状などが、所在不明により届けられない場合、一定期間掲示することで到達したとみなす制度です。これまでは、市役所前の掲示場に紙で掲示していましたが、これを市のホームページ上でも確認できるようにします。住所を掲載しないなどプライバシーに配慮し、公示期間終了後は速やかに削除する等の対策を取るとの説明がありましたが、共産党のやまき議員からは、氏名だけでもいわゆるデジタルタトゥーとなり、リスクがあるなどと反対討論がありました。
議案第94号 西東京市立公園の指定管理者の指定について
賛成25 自民、公明、立憲、共産、ネット、無所属(納田、長井、下田、田村)
反対2 維新・国民
今議会の議案の中でも最も議論になった議案といって差し支えないと思います。
議案の内容は、令和8年4月1日から5年間の市立公園282施設の指定管理者として、日比谷アメニス・公園とまちづくりグループ(以下、日比谷アメニス)を指定するもので、これまで西東京いこいの森公園とその周辺の公園だった指定管理の範囲を、市内全域に広げることが大きな特徴です。
7月から8月にかけて開かれた市の選定委員会では、積極的な苦情・要望等の把握、対応方法や、常勤職員を中心とした体制等が高い評価を受けました。しかしながら、その後、日比谷アメニスが過去に2件の死亡事故を起こしていたことが判明し、この点について、建設環境委員会で質問が集中しました。
指定管理者候補の選定にかかる経過
7/15 第1次審査(書面審査・資格審査)
8/21 第2次審査(プレゼンテーション審査)
8/28 選定結果の決定
9/ 4 川崎市早野聖地公園での死亡事故発生
9/10 選定結果の公表
10/ 8 市が第4回市議会定例会に向けて情報収集する中で、9/4の事故と、平成30年の事故(川崎市生田地緑地)の件を知る
10/15 事業者を呼び出しての事情聴取(その後も随時やり取りあり)
11/10 副市長と事業者の取締役が面会
11/12 仮協定に至る
公園の管理業務の中で、事故の発生を100%なくすことは困難かもしれませんが、今後の安全管理や再発防止策をどう考えているのか、なぜこのような重大な事案を事業者は市に報告しなかったのか、また、市が審査の前に情報収集できなかったのかという点にも厳しい指摘がありました。
私も悩みましたが、日比谷アメニスの提案内容自体には前向きな内容もあり、評価はできたため賛成しました。結果的に維新・国民の2名のみの反対でしたが、今後5年間の指定管理期間の中で、安全管理が徹底されるのか、速やかな情報共有が図られるのかは厳しく見ていく必要があると考えています。末尾に私の討論原稿を掲載します。
陳情第17号 建築物石綿含有建材事前調査・除去・処分費用の住民負担を軽減させるための助成制度の創設を求める陳情
賛成12 立憲、共産、維新・国民、ネット、無所属(長井、下田)
反対15 自民、公明、無所属(納田、田村)
アスベスト含有調査への費用助成並びにアスベスト除去工事・処分への費用助成について、西東京市独自の制度創設を求めるものです。
共産党の中村議員、生活者ネットの後藤議員から賛成討論があり、「各自治体の補助要件や金額は様々だが、直接的な費用助成に加え、事業者や市民へのアスベストの危険性の周知につながる」「SDGs未来都市に選定された。国の対策を待たずに独自の助成制度を創設すべき。事前調査費用の助成から始めては」などと述べました。
無所属の納田議員、自民党のとみなが議員、そして田村も反対討論を行い、「調査だけで1億円から1億5千万円、除去・処分まで拡大すると最大5億円が生じる」「国や東京都からの補助が十分に得られない中では、市財政への影響は極めて大きい」「当該費用に対する補助金制度は国に求めるのが適切」などと述べました。
私としても難しい判断でしたが、市の貯金である財政調整基金が枯渇する現状では、無い袖は振れないと考えました。結果は不採択となりました。末尾に私の討論原稿を掲載します。
陳情第22号 訪問介護事業者への支援及び国への意見書提出を求める陳情
賛成14 立憲、共産、維新・国民、ネット、無所属(納田、長井、下田、田村)
反対13 自民、公明
市内の訪問介護事業者に対し、報酬減額に伴う減収支援、職員確保支援、研修費用助成等の西東京市独自の支援策を早急に実施・拡充すること、国に対して、訪問介護基本報酬引下げの撤回、訪問介護従事者の処遇改善・介護基盤強化を求める意見書を市議会として提出することを求めるものです。
立憲の森議員、共産党のやまき議員、無所属の納田議員から賛成討論があり、「人材不足が深刻な中、報酬引下げが経営にさらなる影響を与えた」「賃金に満足して働いている人がどれだけいるか。処遇改善されてもなお低い賃金で、使命感を持って働いている」「市でこれまでも支援策を講じているとは知っているが、さらなる支援を求める」「東京都の3C補助金(子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業)や、地域福祉基金、介護保険準備基金などの財源の活用を模索し、費用対効果の高い介護人材確保策の構築を」などと述べました。
自民党の佐藤大介議員、公明党の藤田議員から反対討論があり、「スピード感は少し遅いかもしれないが、市は支援策に懸命に取り組んでいる」「介護報酬は全国一律の制度として国において社会保障全体のバランスを踏まえて決定される。撤回を求めることは介護保険制度の運営そのものを正面から否定するもので、意見書として適切ではない」などと述べました。
採決の結果は、わずか1票差での採択となりました。
陳情第17号は審査した委員会では「採択」、本会議で「不採択」
陳情第22号は審査した委員会では「不採択」、本会議で「採択」
と、結果が逆転しました。自民、公明の2会派と、その他の会派・無所属議員の勢力が拮抗する状況のため、このような現象が起こったと言えます。
なお、陳情ではこのほか、同タイトルの2つの陳情、東京都「ベビーシッター利用支援事業」の導入に関する陳情がいずれも全会一致で採択となりました。
以下、私が行った2本の討論原稿を掲載します。
動画も公開されています。
西東京市議会インターネット中継
(議案第94号への賛成討論 25分08秒~ 議案第17号への反対討論 41分35秒~)
議案第94号
議案第94号 西東京市立公園の指定管理者の指定について「賛成」の立場で討論いたします。
本議案は、西東京市立公園指定管理者候補選定委員会の選定結果に基づき、令和8年4月1日から5年間、市立公園282施設について、日比谷アメニス・公園とまちづくりグループを指定管理者として指定するものです。
指定管理者候補が提出した事業計画書によれば、「西東京パーク・コネクト」を事業コンセプトとし、スタッフによる日常巡回を行うことで安全で快適な空間の維持を徹底することや、専用フォームを用いた市民の「やってみたい」をつなぐ仕組みを導入することなどが提案されており、これらの提案が選定委員会でも高い評価を受けたことを、委員会審査を通じて確認しました。また、子ども公園ワイワイ会議のような本市の施策に沿った新たな取組の提案があること、既存の自主事業や市民協働の中間支援について継続して取り組んでいくことも確認しました。近隣では東村山市、小金井市、小平市等で管理実績があることも踏まえ、本議案には賛成致します。
しかしながら、本議案の委員会審査において、議案の補足説明や議案関連資料において一切触れられていなかった新たな事実が明らかとなったことは、看過できません。
それは、平成30年と、令和7年9月の2回、指定管理者候補が関係する死亡事故が発生していたというものです。
この件を認識したのは、本年10月8日、第4回定例会に向けて市として情報収集をする中でのことだったという説明でした。令和7年9月の事故は、第1次審査、第2次審査が終わった後のことですが、平成30年の事故については、審査の段階で市として情報を把握することができたはずです。
仮に審査の段階で死亡事故事案について認識していれば、審査結果が変わったのではないかという質問に対し担当課長は、事前に定められた選定基準に基づいて採点ができた、つまりは結果に影響していないという趣旨の答弁を繰り返していましたが、本当にそうでしょうか。第1次審査の段階では、今回の指定管理者候補には選ばれなかった団体の方が得点で9点上回っていたものが、第2次審査であるプレゼンテーション審査の結果で逆転し、11点差で日比谷アメニス・公園とまちづくりグループが選ばれるという、僅差での決着でした。
仮に審査時点で平成30年の死亡事故事案が明らかになっていれば、その点についての質疑が行われたことは容易に想像され、その回答如何で結果に影響した可能性は否定できません。指名停止になっていないといった、欠格事項に当てはまらないものであるとは言え、重大な事案が明らかにならない状態で出された結果に対し、釈然としない思いを抱かざるを得ません。こうした過去の情報について、事前に把握できなかったことについての反省の弁もあったところですが、今後の指定管理者の選定において、このようなことが繰り返さないよう、猛省を求めます。
本年9月の死亡事故について、発生後に本市に対して速やかな報告がなかったことは信頼関係において極めて重大な問題です。悪いことほど速やかに報告をというのは、市長も常日頃おっしゃっていることだと思いますし、私自身も議会の場で何度かそのようなことを申し上げました。本年9月の事案については、再発防止策の徹底を図り、十分な安全対策をとった中で発生した予測困難な事故だったとの説明もありましたが、そのような内容も含め、早い段階で情報共有がされるべきだったと思います。今後は、速やかな情報共有が図られるよう、徹底していただくことをお願いいたします。
加えて、今回の議案審査にあたっての執行部の姿勢についても一言申し上げておきたいと思います。多くの委員が問題とした2件の死亡事故事案は、議案の補足説明や議案関連資料においては一切触れられていなかった内容です。仮に、委員からこの件に関する質問が出なければ、明らかにされない可能性もあったのでしょうか。この点も、執行部に対して厳しく問いたいと思います。
最後に、本日の建設環境委員会で選定委員会の委員長である副市長から繰り返し発言があったところですが、本市の指定管理業務を担うにあたっては、安全が最優先であるという認識を徹底させていただくよう、この場で私からも強くお願いをしておきます。そして、指定管理業務を行う中で万が一、重大事故の発生や、情報共有の不徹底といった事態が繰り返された場合は、事案の重大性により指定の取り消しといったことも含め、厳しく対応することを求めた上で、本議案への賛成討論といたします。
議案第17号
陳情第17号 建築物石綿含有建材事前調査・除去・処分費用の住民負担を軽減させるための助成制度の創設を求める陳情に「反対」の立場で討論いたします。
本陳情は、アスベスト含有調査への費用助成並びにアスベスト除去工事・処分への費用助成について、本市独自の制度創設を求めるものです。
冒頭、アスベストを含む建物の改修・解体工事により、アスベスト暴露の被害に遭われた方に対し、心よりお見舞い申し上げます。
アスベストの繊維は極めて細く、飛散したアスベストを吸い込むことで、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になり、肺がんを起こす可能性があることが知られています。また、潜伏期間が長く、長い年月を経て健康被害が生じるのも特徴です。市民の健康被害を防ぐためには、市としてもアスベスト飛散防止対策を徹底することが求められます。
一方、陳情が求める、アスベスト含有調査への費用助成、アスベスト除去工事・処分への費用助成に対する補助制度を創設した場合に必要となる経費は、調査費用について、本市の1年間の事前調査報告実績約1000件に、調査費用10~15万円をかけた、1億円~1億5000万円程度が見積もられており、除去工事・処分にかかる費用への助成も行えば、多大な金額となることが委員会の審査で明らかになりました。
国や東京都からの補助が十分に得られない中では、本市財政への影響は極めて大きく、補正予算第9号により、財政調整基金の年度末見込み段高が11億5030万円余りとなり、令和8年度当初予算編成に向けて、これまで以上に厳しい予算編成方針が示されている状況では、現実的ではないと言わざるを得ません。
一つの考え方として、いわゆるフルスペックの助成ではなく、本市の財政状況にも配慮した、可能な範囲での一部助成からスタートするという選択肢はあるかもしれません。しかしながら、多摩26市で先行して制度を創設している八王子市や府中市の状況を見ると、その内容は調査費用のみ、対象も極めて限定されており、毎年度の実績がない、もしくはあっても1、2件程度であることが委員会の審査において示されました。本市でも同様の結果になることが想像されます。
そのような内容であっても、本市独自の制度が創設されれば良いという考えもあるかもしれませんが、実効性のある内容とするのは極めて難しく、本陳情の願意とも大きく乖離したものになってしまうことが想像されます。
このような不完全な形で制度を創設することは、本陳情の願意を叶える近道とは言えず、むしろ、各自治体が個別に対応するには限界があり、近隣自治体とも一致結束して、国としての対応を求める声をこれまで以上に強く上げることが、結果として願意を叶えることにつながるのではないでしょうか。
議場の皆様にも、こうした点を踏まえた上での判断を期待するものです。
最後に、執行部に対して、改めて次の3点を要望します。
1点目、定期的なパトロールや必要に応じた立入検査等の実施により、アスベスト飛散防止を徹底すること。
2点目、市報、ホームページ、SNS、啓発チラシ等の手段を最大限活用し、市民や事業者に対する周知啓発を強化すること。
3点目、多摩26市と連携し、すべてのアスベスト含有建材を対象とした調査及び除去工事等にかかる費用の助成を、国の責任において行うよう、これまで以上に市長会等を通じて強く要望すること。以上を要望した上で、本陳情への反対討論といたします。


