毎度おなじみの議決結果一覧を掲載します。毎年3月に行われる第1回定例会は、次年度の予算を審査するのが最大のミッションとも言えます。そのための予算特別委員会は、当初7日間の予定だったところ1日延長して8日間行われました。
議員の賛否が分かれた議案は今回4件ありました。議案第21号「工事請負契約の変更について」と、議員提出議案第2号「市議会議員によるSNS等の投稿に関する決議」については、すでに記事にしていますのでそちらをご確認ください。
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議案第22号「令和4年度西東京市一般会計補正予算(第1号)」は、上記の工事請負契約の変更に対応する補正予算です。基本的には議案第21号と同じ賛否態度になりましたが、議案第21号で退席していた共産党は予算特別委員会の審査を経て賛成しました。
議案第6号「令和4年度西東京市一般会計予算」は、自民・公明・立憲・ネットと私を含む無所属3名が賛成、共産と無所属1名が反対しました。ちなみに、令和3年度の当初予算の時も同じ議決結果でした。
一般会計予算の総額は770億9千万円。「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、公共施設の電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えていくことや、子どもにやさしいまちを目指す取組を評価して賛成としました。なお、65歳以上の高齢者に5千円の電子商品券を配布する事業は、安易なバラマキではないのか、キャッシュレス決済ポイント還元事業と市内消費喚起事業は、一時的な景気刺激策に過ぎず、今後のあり方は検討が必要ではないか、などと指摘し、今後の各種計画の策定では、積極的に次世代を担う市民の意見を聞き、市政運営に生かすよう求めました。末尾に、私が議場で行った「賛成討論」の原稿を掲載しますので、よろしければご覧ください。
【本会議での「賛成」討論】※原稿を掲載していますので、実際の議場の発言と異なる場合があります
関連リンク:西東京市議会インターネット中継 1時間30分10秒から田村の賛成討論
議案第6号 令和4年度西東京市一般会計予算に対し、賛成の立場で討論いたします。
本予算は歳入歳出予算の総額を、前年度比48億6千万円、6.7%増の、770億9千万円とするものです。
「次世代への責任ある選択」を掲げ、厳しい財政状況の中でも、目下最大の課題である新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする各分野に予算を配分したうえで、臨時財政対策債5億円の借入抑制を令和3年度に引き続き行うなど、公債費管理の徹底に努めた予算編成が行われたことは、全体として評価したいと思います。
池澤市長の政策の一丁目一番地とも言える「子どもがど真ん中のまちづくり」「子どもにやさしいまち」に関しては、児童発達支援センターひいらぎの開設、産後ケア事業の拡充、私立幼稚園入園時に係る費用の一部補助、児童館・児童センターの日曜開館の拡充、すべての学童クラブへのWi-Fi環境整備、子ども食堂への補助による居場所と見守りの充実、市内の全児童・生徒及び高校生年齢世代への図書カード配布、コミュニティ・スクールの推進など、数多くの事業が盛り込まれました。議会からも多くの要望があった学校のトイレについて、建替や大規模改造により改修済みの学校を除く、小学校12校、中学校7校で改修工事が行われることは、ようやくという思いを持ちつつも、評価いたします。
今定例会冒頭、ゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すと表明したことは、今後の環境分野における取組を加速させるものです。公共施設の電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替える、環境に配慮した行動に対する表彰制度や環境ポイント制度を創設するといった事業が予算に盛り込まれていることを評価します。
宣言にもあるように、ゼロカーボンシティは「オール西東京」で達成していかなければなりません。当然、市においても、特定の部署のみが取り組む課題ではありません。予算特別委員会の質疑では、はなバスの見直しにあたっては、西東京市ゼロカーボンシティガイドラインに示されている「公共交通の充実」という視点を入れることが重要ではないか、電気自動車が対象外となっている心身障害者自動車燃料費助成事業は、これを機に再検討すべきではないか、といった、具体的な問題提起もさせていただきました。これらはあくまでも一例であり、ゼロカーボンシティを目指すという方向性にそぐわない事業や制度がないのか、どのような取組をすればゼロカーボンシティの達成に寄与できるのか、今一度各部署が自分事として捉えて、考える必要があると申し上げます。
昨年12月に導入された西東京市公式LINEに関連して、市民から道路や公園遊具等の不具合を画像でいただく仕組みを構築することは、これらの不具合の迅速な解消につながるものと期待しています。市民からの一方的な情報提供にとどまるのではなく、行政側の対応状況についても市民と共有することで、双方向性のあるコミュニケーションツールとなり、市民の行政に対する満足度や、納得感の向上につながる仕組みとなるよう求めます。
なお、通学路安全点検においてこれまでに指摘されている道路の危険箇所については、市としてすでに把握できているわけですから、子どもの命を最優先に、できる限り速やかに安全対策を取っていただき、万が一の事故が発生することの決してないよう、取り組んでいただくことを求めます。
国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して行われる事業については、いくつか意見を申し上げておきたいと思います。
まずは、キャッシュレス決済ポイント還元事業と市内消費喚起事業についてです。
キャッシュレス決済ポイント還元事業においては、取扱事業者をこれまでの1社から3 社に拡大すること、市内消費喚起事業においては、紙のプレミアム応援券から、電子商品券方式によるプレミアム応援カードに変更することなど、一定の改善が図られていることは、予算特別委員会の審査の中でも確認させていただきました。
しかしながら、こうした一定のプレミアム分を付与することによって消費を喚起する手法は、一時的な景気刺激策としての効果があるとしても、継続的な市内経済の振興につながるものとは思えません。コロナ禍の影響が長期化する中、事業実施を求める声があり、3年連続して同様の事業が続く形となっていますが、これらの事業ありきになってしまってはいけません。今後のあり方については、コロナ後を見据えて検討していただくことを望みます。
また、キャッシュレス決済に不慣れな方、そもそもプレミアム応援カードを購入する余裕のない方、新たな機器の設置をためらって参加を躊躇する事業者がいるなど、事業の恩恵を受けられない方がいることは改めて指摘しておきます。今後、利用者、事業者、双方に向けた説明会の場なども用意されていると伺っていますので、可能な限り多くの方が利用でき、参加店舗数が1店舗でも増えるよう、個別のお問い合わせにも丁寧に対応していただくことを要望します。
もう一点は、高齢者応援事業として行われる、65歳以上に5000円の電子商品券を配布する事業です。
政府が検討している、年金受給者への5000円の「臨時給付金」支給案について、参議院選挙を前にしたバラマキではないかとの批判の声が上がっています。今回実施される高齢者応援事業についても、期せずして、金額が同じ5000円でありますが、同様のバラマキではないかとの声が私のところにも届いています。いわゆるシルバーデモクラシー、政治への関心が比較的高く、投票率も高い高齢者が優遇された結果ではないかと考える、現役世代からの嘆きの声も聞いています。
この、高齢者応援事業を、安易なバラマキで終わらせてはなりません。
本事業は、予算書の中では「フレイル予防事業費」の中に位置づけられています。事業の目的は、市長記者会見での資料を引用すれば、「長引く新型コロナウイルス感染症等に伴う行動制限の影響を受けている高齢者の方々に、買物や外食などによる外出や交流の機会等を創出することで、フレイル予防につなげるとともに、高齢者の方々の生活を広く応援すること」とされています。
単に商品券を配布するだけに終わらず、外出した先でどのように地域の人などとの新たな交流の機会をつくるか、フレイル予防の取組にどうつなげていくか、工夫することが求められます。
3月25日に、田無アスタ専門店街で「お買い物でつながろう フレイル予防のすすめ」が開催され、私も様子を見に行ってまいりました。当日は、グループで館内を歩いてお買い物や体験を楽しめるツアー、地域包括支援センターをはじめとするブース出展、ステージではシャキシャキ体操や薬の相談会などが行われていました。例えばこのようなイベントを開催することによって、単なる買い物ではなく、地域との新たな結びつきを得たり、趣味を見つけることにつなげられる仕組みが求められます。新たに実施されるe-スポーツを活用したフレイル予防の取組もその一つだと思います。あくまでも商品券配布はきっかけづくりにすぎません。繰り返しになりますが、この事業が終わった後に、安易なバラマキだったと言われないような取組を、切に願います。
令和3年度は、「若者支援」が一つのキーワードとなり、西東京市独自の学生応援特別給付金の創設や、LINEを活用した新たな若者向けの相談制度の開始、大学生等に対する食料・生理用品の無償配布など、目に見える形で具体的な取組がありましたが、令和4年度の当初予算審査の中では、若者支援というキーワードが語られる場面が少なかったように感じ、残念に思います。
次世代を担う若者が、西東京市への愛着と誇りを持ち、西東京市に住み続けたいと思ってもらえるようなまちにしていくことについては、市長も同じ思いであると思います。総合計画策定審議会において、市民委員4名のうち2名を学生枠としたことは評価していますし、学生委員が活発に議論に参加している姿は大変頼もしく思います。他の審議会や、今後行われる各種計画の策定における市民参加の場面でも、積極的に次世代を担う市民の意見を聞き、今後の市政運営に生かしていただくよう要望いたします。
最後に、これは以前も当初予算に対する討論の際に申しあげたことがあるのですが、誰もが100%満足できる予算というものはありません。今回、賛成の立場を取りますが、もろ手を挙げて、すべての内容に100%賛成するというわけではありません。今日の討論や、これまでの委員会審査等を通じて指摘してきた課題については、今後も議会での論戦を通じ、どのように取り組んでいくのかをしっかりとチェックさせていただくことを申し上げたうえで、本予算に対する賛成討論といたします。