安倍元首相の国葬中止に「賛成」の討論 結果は否決

本日の西東京市議会本会議に、議員提出議案第8号として「安倍晋三元首相の国葬の中止を求める意見書」が提出されました。私は、国葬中止に賛成する立場から討論を行い、意見書に書かれている内容に加えて、国葬を中止すべきと考える理由について述べました。下記画像が提出された意見書の本文です。また、その後ろに私が行った賛成討論の全文を掲載しますので、よろしければお読みください。

この意見書は日本共産党の藤岡議員が提出者となり、立憲フォーラムを代表して佐藤(大)議員、生活者ネットワークを代表して後藤議員、無所属の森(て)議員、そして私の4名が賛成討論を行いました。反対討論はありませんでしたが、採決結果は自民・公明の反対多数で否決となりました。国民の間にも賛否がそれぞれある問題ですので、賛否が分かれるのは仕方のないところですが、反対するなら反対する理由を表明していただきたかったなと思います。

【田村ひろゆきが行った国葬中止「賛成」討論全文】 

議員提出議案第8号 安倍晋三元首相の国葬の中止を求める意見書に「賛成」の立場で討論いたします。

まずは、この度の安倍元首相銃撃事件については、いかなる理由であれ決して許されるものではなく、亡くなられた安倍元首相とそのご遺族に対し、哀悼の意を表します。

さて、政府は今月27日、日本武道館にて安倍元首相の国葬を実施しようとしています。国葬を実施する法的根拠としては、内閣府設置法4条3項33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」という規定があることが挙げられており、この中の、「国の儀式」として今回の国葬を行うという説明です。

しかしながら、これまでに内閣府設置法の国の儀式として行われたものは、天皇の国事行為として定められている儀式に限られ、1980年の大平正芳元首相の死去以降、首相経験者の葬儀はほとんどが内閣・自民党合同葬として、内閣の儀式として行われてきました。このような背景を考えても、今回、安倍元首相の国葬について国会で何ら審議することなく、閣議決定によって実施することは認められません。

今回、異例の国葬を決断した理由の一つに、歴代最長の8年8か月にわたって首相を務めたことが挙げられています。しかし、当時歴代最長の在任期間で、ノーベル平和賞も受賞した佐藤栄作元首相の葬儀も、国葬ではありませんでした。そもそも、首相を長く務めれば功績があり、短ければそうではないと言うことはできません。むしろ、安倍元首相の場合は長期にわたって政権の座にあることが「安倍一強」と称され、例えば森友学園をめぐる公文書の改ざんのような、長期政権の負の部分が出たのではないかと指摘される問題も発生していました。

確かに、選挙期間中の銃撃事件により亡くなるということが国民の間に衝撃を与えたことは事実で、安倍元首相本人としても無念の死であったと思われるとは言え、政治的評価が分かれる元首相について、時の内閣の一存により国葬を決定するような、恣意的な扱いを認めるべきではありません。

海外から寄せられた弔意に応えるという点や、弔問外交の場になるといった指摘についても、国葬でなければならない理由にはなりません。直近では、2020年に中曽根元首相が死去した際も、内閣・自民党合同葬として行われています。安倍元首相をことさらに特別扱いすることなく、近年慣例として定着しつつあった内閣・自民党合同葬として執り行うのが妥当であると考えます。

国葬実施が決定してから、国民世論は真っ二つに割れるどころか、日を追うごとに反対派が多くなっています。直近では、朝日新聞社が今月10日、11日に実施した調査で、国葬に賛成が38%、反対が56%。NHKが今月9日から11日までに実施した調査で、国葬の実施を評価するが32%、評価しないが57%となっており、反対または評価しないが、賛成または評価するを大きく上回る結果となっています。このような状況のまま国葬を実施することは、国民の声を無視するものであり、賛成派・反対派の分断をさらに広げるだけの結果となります。

最後に、亡くなった安倍元首相、ご遺族の思いはどうでしょうか。どんな人であれ、亡くなることは悲しく、辛いことです。その最期を、静かに送りたいというのは誰しも思うことではないでしょうか。このまま国民の多数が反対する中、国葬に突き進んでいくことは、亡くなった安倍元首相やご遺族にとっても望まない結果になると考えます。

岸田首相に、国民の声を「聞く力」が残されているのであれば、今すぐ国葬中止の決断をすべきと申し上げ、安倍晋三元首相の国葬の中止を求める意見書に対する賛成討論といたします。

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