2日間の全国政策研究集会で問い直す「自治」

8月18日から19日の2日間、渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された「全国政策研究集会」に参加しました。テーマは「自治で創る命の安全保障」です。

1日目のプログラムは、法政大学総長の廣瀬克哉さんによる基調講演から。実は、今回の集会の実行委員として動いていたため、前半は落ち着いて聴くことができなかったのですが(後日録画で視聴します)、ウクライナ危機が世界経済に与える影響が示すように、何でもお金を出せばほしいものが買えるという環境ではなくなってきており、最低限のエネルギーと食糧をローカルに確保していくことの意義が改めて浮き彫りになっていること、自治体住民を消費者感覚の「お客さま」ではなく、当事者感覚を持つ「ご本人さま」に変えていくことの大切さが話されました。

続くシンポジウムには、世田谷区の保坂区長、杉並区の岸本区長、米原市の平尾市長という3人の首長が登壇。「市民の命に責任を持つ一番身近な政府から」と題して、保坂区長からは新型コロナウイルス対策について、平尾市長からは平和事業について、それぞれの自治体が独自に取り組んできた内容の紹介がありました。僅差で区長選を制して注目を集める岸本区長からは、ミュニシパリズムの実践として、くじ引き民主主義による「気候市民会議」の取り組みや、新たに自治体に配分されることになった森林環境譲与税について「市民参加型予算」として市民から使途についてのアイデアを募るといった取り組みについて説明がありました。これまで声を上げてきたいわゆる「モノ言う市民」だけでなく、これまで関わってこなかった人にどう関わってもらうかが大切という話です。

1日目のラストは分科会「地方議会を討論の広場に~北海道栗山町議会の実践に学ぶ~」でした。この分科会は私が全体責任者として担当したものです。中央学院大学教授で元我孫子市長の福嶋浩彦さんと、元北海道栗山町議会事務局長の中尾修さんから、具体的な事例に基づいて議員間討議の実践について話を聞きました。

〇議決機関である議会が決めるために議員同士で話し合いをするのは当たり前。小学校の学級会でも話し合いをする。話し合いもせずに決めるのは議会くらいではないか。
〇栗山町には会派はない。会派で結論を決めてから「議員間討議」をするとはどういうことなのか。
〇議案について一定の説明を受けたら執行部はお帰りいただき、「あとは議会で決めます」でいいではないか。
〇請願・陳情の審議では提案者の意見を聞かなければならないとしている。議会が提案者の意見を「聞ける」のではなく、町民が意見を「言える」。これはまったく違う。

などなど、目から鱗の話が次々に飛び出しました。その後、都内の自治体の事例として、あきる野市議会と町田市議会で行われている議員間討議の実践例を聞きました。

議員同士がとことん議論して結論を出すことで、同じ結論になったとしても町民(市民)の納得感が全然違うという話は、まさにその通りと感じました。

2日目の午前中は、「すすめよう!子育て支援 必要なの?少子化対策」と題した分科会に参加。流山市をはじめ、いくつかの自治体の事例も紹介される一方、これまで行われてきた様々な「少子化対策」は、結果として少子化を止めることはできなかった。必要なのはすべての子どもが幸せに育まれるための子育て支援施策の充実ではないか。他の自治体の出生率を下げて自分の自治体の出生率を上げているのが現状。人口の取り合いに未来はあるのか?といった問題提起もありました。私自身、さらに考えを深める必要があるテーマだと感じました。

午後は神宮外苑と神楽坂のまち歩き。現在計画されている神宮外苑の開発により、イチョウ並木や景観にどんな影響が考えられるのか、現状と完成予想図を比べながら回りました。神楽坂では、路地が残る街並みの中に誕生した高層マンションや、都市計画道路による立ち退きの状況などを見ました。開発=悪では必ずしもありませんが、影響の検証と合意形成の努力は必要だなと思います。こちらも簡単には答えの出ない難しい問題ですね。

にしても、2日間暑かったです!

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