人口減少社会における議会の役割について学ぶ

10月10日から12日までの3日間、滋賀県にある全国市町村国際文化研究所(JIAM)での研修に参加してきました。北は北海道から南は九州まで、まさに全国各地の市町村議会議員が集まっての研修となりました。

 

ざっくりとした内容は以下のようなものでした。

1日目 講義 2040年を見据えた地方行政の現状と課題について
1日目 講義 大阪府の寝屋川市長より、子育て世代に「選ばれるまち」となるための改革について
2日目 講義&演習 統計データを基にした「地域の未来予測」を基に、モデル自治体の課題と政策を検討
3日目 講義 人口減少社会において議員・議会に求められる役割について

中でも印象に残ったのは、1日目の後半に行われた寝屋川市の広瀬慶輔市長の講義でした。実は、広瀬市長のコロナ禍での情報発信には以前から注目していて、経緯は忘れましたがX(旧Twitter)では相互フォローさせていただいており、今回ぜひ直接お話を伺ってみたいというのも一つの参加動機でした。

寝屋川市は人口23万人、市内に駅は4つで、市域が狭くて人口密度が高いといった部分では西東京市とも似通った部分も感じます。特徴的なのは大阪万博の頃に人口が一気に増えたため、高齢化と学校などのインフラの老朽化が一気に押し寄せてきたということです。「人口減自体は悪いことではないが、世代のリバランスをかける必要がある。そのために、若い子育て世代に寝屋川を選んでもらう必要がある」と広瀬市長は強調されていました。これは、西東京市にもそのまま当てはまる話だと思いながら聞いていました。

話のポイントだなと思ったことをいくつか紹介します。

①不利なところではなく得意なところで勝負する
住環境、街並みを改善できればよいが、もともと古い街で市域も狭いため、ここで勝負するのは難しい。そのため、子育て環境・教育環境を良くすることに資源を集中する。市独自のいじめ対策や、学力向上策など。

②ターゲットを明確にした投資をし、持続可能な競争優位をつくる
子育て世代に喜ばれるのは公園と学校。市内のある駅周辺にはもともと大きな府立公園があったので、そこに特徴的な教育を行う小中一貫校をつくることに。ただ漠然と「子育て世代」とするのではなく、「担税力のある子育て世代に住んでもらう」とターゲットを絞って施策展開した。

その他にも具体的な事例として、市役所窓口を8時から20時までオープンとし、接客のプロを配置したこと、市西部にあった中央図書館を市内中心部の駅前にある商業ビルのフロアの中に入れ、面積はダウンサイズ、利用者は倍となったことなどが紹介されました。様々な取り組みが評価され、住みたい街ランキングの入賞や地価上昇率に跳ね返ってきているそうです。

質疑応答では私の質問にも丁寧に回答いただき、広瀬市長には感謝です。寝屋川市、ぜひ一度行ってみたいですね。

2日目の講義と演習では、全体を3つの教室、計18班に分けてのグループワークを行いました。私の教室では埼玉県ふじみ野市をモデル自治体とし、2050年に予測される人口や就業者数、保育・教育や介護のニーズなどを基に、必要な政策を考えていくといういわゆる「バックキャスティング」の手法による演習でした。

人口が減らず、歳入もある程度確保されるという予測に「うらやましい」などといった声も上がる中、高齢化率の上昇が課題だということで、フレイル予防、認知症の人も共にいるまちづくり、農福連携、学校を核に地域の高齢者も集まるまちなど、西東京市にもそのまま当てはまるような政策が多く出されました。

個人的には、もっと人口減少が急激な山間部の村をモデル自治体とした教室の方が聞いている分には面白いアイデアが続々と出ていたなという印象です。一口に「人口減少社会」と言っても、その実態は各自治体によって大きく違い、自治体毎に取るべき方策は違うということがよくわかりました。

ちなみに屋内での研修なのであまり関係はありませんが、3日間天気に恵まれました。私の部屋からは琵琶湖を望むことができ、朝日がまぶしかったです。近くの唐崎神社にも散歩に行きました。

 

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