第3回定例会議決結果一覧 一般会計決算の認定には反対

10月2日に第3回定例会が終わりました。毎年9月議会では、前年度の決算認定に関する議案を審査します。メインの一般会計、国民健康保険や介護保険など目的別の特別会計などがありますが、最も時間をかけるのが一般会計です。実際の決算額、事業の成果を確認して、適切な予算執行であったかを審査します。

私は令和5年度一般会計決算の認定については「反対」しました。池澤市長の掲げる子どもがど真ん中のまちづくりなど、市政運営の方向性については基本的に共感しますが、今回は指摘すべき課題の方が大きいと判断しました。

反対理由には、キャッシュレス決済ポイント還元事業で当初予算を大幅に超過しながら事業を中止できなかったこと等により、多額の予備費充用を行ったこと、今年度の東小学校改修工事につながる教室不足への認識の甘さと対応の遅さ、抜本的な対策が進まない学童クラブの過密化を挙げました。反対討論の全文はこの記事の最後に掲載します。

その他の議決結果は以下の通りです。

賛否態度が分かれたものを中心にご紹介します。

陳情第9号 国に対し、当面の間現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書の提出を求める陳情

立憲、共産、維新・国民民主、生活者ネットなど12名が賛成、自民、公明の12名が反対。私は、マイナ保険証の利用率は極めて低く、12月2日から健康保険証の新規発行停止は性急だと主張し賛成しました。可否同数となったため、議長裁決で不採択という結果になりました。

この結果に関連し、多くの方から退席した佐藤大介議員、欠席した納田議員についてお問い合わせをいただきました。
佐藤議員はこの陳情を審査した委員会の委員長を務め、この際も可否同数でした。議会運営の原則の一つに「現状維持の原則」があり、可否同数の際は現状を変えない判断をすべきとされています。これは法や条例等に定めがあるものでなく、あくまでも慣習ですが、佐藤議員はこの考え方に従い委員長として否決の判断をしました。そのため、本会議においては会派の考え方に従えば賛成となるところ、委員長として否決の判断をしていることから、退席という判断をされたのだと思います。
また、納田議員は今定例会は欠席が続いており、今回の陳情採決があったから欠席したわけではないと思います。ご本人としては、欠席となり歯がゆい思いをされたのではないかと思います。

議案第61号 西東京市国民健康保険条例の一部を改正する条例

この改正には、12月1日で健康保険証の被保険者証の新規発行が終了することに伴う規定の整備が含まれていたため、陳情第9号と同趣旨で反対した方もいましたが、私は、国に対して見直すよう声を上げる立場ではあるが、現時点では国のスケジュールに変更はなく、このまま12月2日を迎えると「法の根拠がない条例」が存在することになってしまい、それは問題である。今後、国の方針に変更があれば、その際は必要に応じて条例を再度改正すればよいとの意見を述べて、賛成しました。

議案第70号 令和6年度西東京市一般会計補正予算(第5号)

東京都の補助事業を活用し、10月1日から始まる新型コロナワクチン定期接種への補助を行い、自己負担を2500円にするという内容でした。今回の定期接種にはレプリコンワクチンが使用されると言われており、安全性に懸念があるなどとして、生活者ネットワークの2名、無所属の長井議員が反対しました。

議案第53号 令和6年度西東京市一般会計補正予算(第4号)

これは全会一致で可決されましたが、別途記事でご紹介した東小学校の教室等転用改修工事の費用を含むもので、賛成した会派、議員からも課題を指摘する討論が相次ぎました。

以下は、議案第64号 令和5年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定についてに対する私の反対討論です。動画でもご覧いただけます。

西東京市議会インターネット中継(田村の討論は1時間3分50秒から)

議案第64号 令和5年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場で討論いたします。

令和5年度一般会計歳入決算額は、860億3857万1613円、歳出決算額は、831億8493万1644円となりました。新型コロナウイルス感染症への対応に加え、長引く物価高騰等への対応が求められたこともあり、歳入歳出決算額は前年度を下回ったものの、過去3番目の額となりました。

私は、池澤市長が推進してきた子どもがど真ん中のまちづくり、環境、平和、そして若者を施策の中心に据えた市政運営の方向性については、基本的に共感するものであり、令和5年度の当初予算についても賛成の立場を表明させていただきました。また、池澤市長就任後、令和3年度以降の当初予算、決算についても賛成の立場を取ってまいりました。

しかし、その間、市政運営に課題がなかったというわけではなく、賛成の立場を取りながらも、様々な問題を指摘してまいりました。今回の令和5年度決算の認定についても、予断を持たず、決算特別委員会最終日まで審査を見守っておりましたが、熟慮した結果、指摘すべき課題の方が大きいと判断し、池澤市政4年間の任期中に行える最後の決算審査であるこの機に、厳しい態度で臨むこととしたものです。

以下、本議案に反対する理由を大きく4点申し述べます。

1点目は、当初予算を大幅に超える予備費の充用が繰り返され、年度途中に2回の増額補正を行うという過去に例のない事態となったことです。
決算資料で示された予備費の充用状況によれば、金額の大きなものから、キャッシュレス決済ポイント還元事業委託料が2回の合計で5180万円、市税還付金・還付加算金が3600万円、自転車用ヘルメット購入費用助成金が1000万円、地球温暖化対策助成金が980万円などであります。自転車用ヘルメット購入費用の助成や、地球温暖化対策としての省エネ家電への助成などは、令和5年度に初めて実施する事業であり、市民ニーズを読むのが難しかったという事情があるとしても、先行する自治体の事例をもう少し研究した上で、より精緻な見積もりができなかったのか。それが難しかったとしても、予算を大幅超過するのであれば、一旦受付を停止し、改めて議会に必要な予算を諮った上で実施する選択肢もあったのではないでしょうか。
改めて申し上げるまでもなく、我々議員は、予定される様々な事業について、その内容と共に、支出される額についても妥当性を判断した上で予算の賛否を決定しています。想定よりニーズが多かったからという理由で、予備費の充用で済ませるような事態が頻発すれば、当初予算の審査は何だったのかという疑問が生じるのは当然のことです。
これまで池澤市長は、新型コロナウイルス感染症への対策として実施された給付金など、他自治体では専決処分で済ませる場合もあるような内容についても、可能な限り議会を開き、補正予算を提案して慎重審議をしてきました。その姿勢とは、相容れない対応ではなかったかと感じます。
災害対応や、損害賠償、緊急を要する修繕など、予見しがたい事態は発生するものであり、予備費の充用そのものが悪いというつもりは全くありませんが、令和5年度にあっては政策的な経費への充当が目立ち、一時は予備費の額が330万円にまで減少したという事実は、重く受け止めるべきと指摘いたします。

2点目は、ただ今申しあげた予備費の充用にも大きな影響を与えたものですが、キャッシュレス決済ポイント還元事業の決算額が当初予算を大きく超過したことです。
もとより、私はこの事業については、キャッシュレス決済に不慣れな方、キャッシュレス決済の導入が行えない事業者など、事業の恩恵を受けられない方がいるという課題や、毎年度続けていく性格の事業なのかという疑問を呈しておりました。当初予算段階では学生等応援特別給付金や学校給食費の無償化等の子ども、若者への経済的支援策が一切触れられない中、キャッシュレス決済ポイント還元事業の事業費は過大ではないかという指摘もしておりました。
そうした中で、事業期間の約半分が過ぎた9/30までのポイント付与額が、執行率56.6%となり6割に近づいていたにもかかわらず、具体的な対応の協議を始めたのは、執行率が83.6%との報告を受けた10/16であり、事業者から事業終了までに必要と言われていた3週間を切った段階であったため、事業期間終了までポイント付与額が増え続ける事態を止めることができませんでした。対応の遅れが大きな原因であることに加え、他自治体の事例と比較しても、機動的に事業終了ができない仕組み自体、事業者との協議に課題があったのではないかとも思われます。結果として、当初予算で認めた予算額を大幅に超過し、予備費充用5180万円、予算流用550万円を発生させたことは、課題があったと厳しく指摘いたします。

3点目は、過密化する学童クラブへの対策が進まなかったことです。
学童クラブの過密化については、以前から多くの議員が指摘してきたことではありますが、残念ながら令和5年度においてもその対策は前進したとは言えません。定員に対する在籍数の割合を年度毎に追っていくと、令和3年度は128%、 令和4年度は137%、令和5年度は149%と、毎年10%前後の上昇を続けており、平均で定員の約1.5倍の児童が在籍していることになります。本市では、1次申請で入会希望した児童は定員超過に関わらず入会することができますが、1次申請ができなかった場合、年度途中の入会希望の場合は、定員超過による待機が発生しており、令和6年3月1日時点の待機児童数は73人となっています。この人数も増加を続けています。
本来、令和5年度は、田無柳沢学童クラブの過密化解消を図るため、令和7年度からの開始に向けて、柳沢小学校の敷地内に学童クラブを整備する事業を進める予定でした。ところが、入札不調により、この整備事業が遅れることとなりました。令和5年度予算を評価する一つのポイントとなった事業でもあったことから、非常に残念に思います。
過密化する学童クラブの状態が一向に改善しない現状は、子どもがど真ん中の西東京市と言うにはあまりに厳しい状況だと、改めて指摘いたします。

4点目に、問題がクローズアップされたのは、先般の令和6年度一般会計補正予算第4号の審査ではありましたが、元をただせば令和5年度中の対応に課題があった問題として、東小学校の教室不足に対する認識の甘さと、対応の遅さについて指摘いたします。
東小学校における余裕教室のなさ、教室不足が発生する懸念は以前より議会においても指摘されていた課題です。特別支援学級の児童数増により、令和7年度に教室不足が生じると令和5年12月22日に教育委員会が認知し、12月から翌年1月にかけての検討で、住吉小学校に新たに特別支援学級を開設する案を最善の案としてまとめたとのことでありましたが、すでに指摘した通り、2学期に7名の転学があった段階で検討を開始し、東小学校自校内での解決の可能性についても十分時間をかけて検討していれば、この度の教育委員会の方針が二転三転するような対応にはならなかったはずです。この件は、今年度に入って教育長が方針を変更したことが問題というよりも、令和5年度中の教育委員会の対応に大きな問題があったと考えることから、令和5年度決算の認定に反対する理由の一つとして指摘するものであります。

その他、必ずしも反対の理由とは致しませんが、執行率、執行状況について課題があると思われる事業も散見されました。決算特別委員会での指摘を踏まえて改善していただくことを望みます。

なお、子ども・若者平和ワークショップの開催や、田無駅北口の平和のリングの復活などの平和事業に力を入れたことや、広報専門職の配置に伴い、様々な広報改革に取り組み、市の魅力発信を強化していることなど、評価できる内容も多々あったことは申し添えておきます。

私の池澤市政に対するスタンスは、これまでも、これからも一貫しており、変わりません。それは、良い取組であればそれを後押しし、課題があれば厳しく指摘するということであります。そして、この西東京市をもっと良いまちにしていきたいということであります。これは、この議場にいらっしゃる皆さんが、おそらく共通して思っていらっしゃることではないかと思います。

池澤市長の1期目の任期も残りわずかとなって参りましたが、令和5年度の課題を真摯に受け止めていただき、残る任期の市政運営に生かしていただくことを望み、令和5年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定についての反対討論といたします。

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