1泊2日の議員研修「議会改革を考える」に参加

11月4日、5日の2日間、滋賀県の研修施設にて市町村議会議員研修「議会改革を考える」に参加してきました。場所柄、西日本エリアからの参加議員が多かったですが、北海道から沖縄まで70名以上の議員が参加しました。

1泊2日の研修内容は、
①早稲田大学名誉教授・元三重県知事の北川正恭氏の講義
②早稲田大学マニフェスト研究所事務局長の中村健氏の講義
③大阪府箕面市議会の事例紹介
④京都府精華町議会の事例紹介
⑤参加議員によるグループワークとまとめ
という盛りだくさんの内容でした。

①の北川正恭氏の講義は「VUCA時代における地方議会の展望」がテーマ。VUCA時代というのは、簡単に言うと予測不可能な時代という意味。このような時代には、これまでの経験をもとに次の計画を立て、実行するというPDCAサイクルに代わり、OODA(ウーダ)ループという考え方が注目されているという話が冒頭にありました。
※「VUCA時代」や「OODAループ」の詳しい説明は省きます。関心のある方はお調べください。

具体的な事例として、以下のような事例が紹介されました。
■墨田区議会…政策提案に議会事務局も参加できるよう議会基本条例に明記した。
■西脇市議会…議会全体、委員会単位、高校生向けなど年40~45回もの議会報告会を実施している。
■高山市議会…高校生への主権者教育の実施で投票率がアップした。
■取手市議会…オンライン委員会で表決を可能にする会議規則改正など、リモート議会のトップランナー。

その他、以下のような指摘がありました。
■議会が持っているのは監視機能だけではない。条例制定権を持ち、政策提案機能がある。二元代表制のもとで執行部とは対等。ぜひ機関競争をしてほしい。
■「改革」というとこれまで議員を減らす、政務活動費を減らすといった量的削減が注目されてきた。これからは質的充実を目指すべき。北上市では議員の活動を徹底的に市民に公開、市民の理解を得て報酬をアップした事例もある。形式的ではなく、住民の生活に結びつく改革が必要。
■監視機能だけからの脱却には議員間討議を活発にすることが必要だ。歳費や定数等、議員に直結する話題から取り組んでいくのが良い。
■個々の「議員」ではなく、総体としての「議会」が信頼される存在になること。

キーワードはTTP(徹底的にパクる)ですが、パクるのは考え方、実際のやり方はそれぞれの地域ごとにカスタマイズの必要があるとのことです。様々な先進事例に学びつつ、西東京市議会ではどの部分が真似できるか、どんなやり方だったら実践できるかを考えていきたいです。

②の中村健氏の講義は『「議会改革度調査」から見る地方議会』がテーマ。冒頭に「あなたはなぜ議員になったのか」「あなたの自治体の課題は」「それは解決に向けて進んでいるか」といった問いかけがあり、2025年までに行政手続きの98%をデジタル化せよと言われる中、役所で残る部署はどこか、議会を傍聴するのになぜ「関所」が必要なのか、住民と言っても必ず議会活動に参加する人から無関心な人までいる中、あなたが声を聴いている「住民」とは誰か、など様々な問題提起がありました。

具体的な事例として、以下のような事例が紹介されました。
■太田市議会…氏名や住所の記入を不要とし、乳幼児や児童の入場も可能と明記した。
■北海道福島町議会…「傍らで聴く」と書く傍聴者という言葉を使わず、「参画者」という言葉を使用する。
■長野県高森町…「子育て支援に力を入れる」と総合戦略に記し、「建設課ができる子育て支援」として子育てママとの意見交換を通じ駐車場や公園の改修を行った。
■可児市議会…子育て中の女性が参加する「ママさん議会」を開催し、子育て健康プラザに意見を反映した。

③では大阪府箕面市議会の議員が以下のような事例紹介を行いました。
地域別、分野別意見交換会の実施。本会議、常任・特別委員会、議会運営委員会を平成27年からすべてライブ・録画配信し、アーカイブは無期限公開。議会だよりを「読みやすく」「親しんでもらう」ためにフルカラーでリニューアル。こうした取り組みを踏まえた議会基本条例の制定。グループウェア・タブレット活用によるペーパーレス化。
議会だよりのリニューアルはまさに私がいま所属している広報委員会の課題として取り組んでいることであり、文字数の削減、写真・イラストの多用、録画配信動画への誘導などは西東京市議会でも参考になる話でした。

ここまでが一日目。すでにお腹いっぱいの感もありますが、翌朝9時から講義再開です。余談ですが、研修施設から見た琵琶湖に昇る朝日がきれいでした。

④では京都府精華町議会の議員が以下のような事例を紹介しました。
通年議会の施行・実施。産前産後休暇制度の創設。正副議長選挙時の所信表明の実施。議員間討議の委員会への導入。傍聴規則の大幅改正(録画録音OK、風貌による入室規制撤廃)。住民参加の研修会、ワールドカフェ方式による意見交換会の実施など。
話の中で、議会「改革」という言葉はあまり使わないようにし、議会「活性化」という言葉を使った。改革というと何か今あるものを否定するようで構えられてしまうが、本来あるものを活発化させるんだという趣旨で「活性化」としたのだという説明がありました。
また、精華町議会では議員の担い手不足という問題も抱えており、現職議員が良い実践を展開し、「なりたい!」と思える議員像を示せているか?という問いかけもありました。
質疑応答で、無所属の一人会派だという議員から「どう取り組めばよいか」と質問があり、「2人、3人と少しずつ共感する仲間を増やしていく」「会派を超えて取り組めるものから手をつける」「議員間討議であればいきなり議案でやらず、議員が共通して問題と感じているテーマから始める」といったアドバイスがありました。

⑤の参加議員によるグループワークでは、3人から4人のグループで「議会だよりをどのように改善すればよいか」というお題でディスカッション。私のグループは、川越市議会、南アルプス市議会、池田市議会の議員が参加。3市ともA4サイズの議会だよりでした。西東京市議会のようなタブロイド判は少数派になりつつあります。
現状については多くが「読まれていない」を挙げ、その理由に「そもそも興味がない」「読んでも得することがない」といった指摘がありました。解決策として、「見出しが大事」「QRコードによる動画への誘導」「インタビュー記事など市民を載せる」「議員の顔をにこやかに、動きのある写真を」などが挙がりました。議会に関するクイズやクロスワードパズルを入れてはどうか、プレゼントが当たる企画はどうかといったアイデアも出ました。

この後、全体の振り返りとまとめがあり、ここでも多くの先進事例が紹介されました。
■あきる野市議会…議会だよりのリニューアルの際、どのデザインの冊子がいいか市民アンケートを実施。
■犬山市議会…公募により1人5分以内の市民フリースピーチ制度を実施。
■長崎県小値賀町議会…模擬公聴会として、議員の一般質問に対して1人3分以内で傍聴者が意見を述べる時間を設ける。
■戸田市議会…各常任委員会で年間の活動テーマを定め、年間活動計画と活動成果を公表。
■町田市議会…住民が提出した請願について、委員会で意見陳述を機会が設けられている。
■兵庫県太子町議会…議場を1階に配置し、自習室、フリースペースとして開放する。

最後に参加者へのメッセージとして、「それって、住民にとって、地域にとって、どうなの?」という生活者起点を常に大事にしてほしい。1人1人の力は微力だが、あきらめずに仲間を作ることで乗り越えられる。「あの人が言っているから!」と言われるような信頼される存在になってほしい。といった話がありました。

2日間で聴いた話はどれも「いいな」「こうなりたいな」と思うものばかりでしたが、あれもこれもと手をつけることはできません。今の西東京市議会で考えれば、まず何から取り組めるか、どのテーマであれば合意形成が図れるかといったことを考えながら、一歩ずつ取り組んでいきます。

また、初日の夜に行われる立食形式の交流会は中止となったものの、何人かの議員とは名刺交換をしてつながることができたので、今後も情報交換していければと思います。

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