毎度おなじみの議決結果一覧を掲載します。今回の定例会では、議案と陳情では大きく意見が割れたものはありませんでしたが、最終日に提出された3つの意見書について賛否が分かれました。
まず、議員提出議案第3号「国会における憲法論議の推進と国民的議論を求める意見書」について。私は賛成の立場を取りました。これについて、田村は憲法改正に賛成なのか?と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、あくまでも「議論をする」ことには反対しないという趣旨であり、憲法改正に積極的という意味ではありません。
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討論の中でも、「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則、とりわけ平和主義の根幹をなす憲法第9条について、堅持すべきであるとの立場」とはっきり表明しました。
そのうえで、「十分な議論もなく多数派が思い通りに決めてはならない」「国民の理解が深まらないまま、数の力で憲法改正の発議へ向かうような事態は避けなければならない」とも主張し、市議会議員としての私に課せられた役割は、「憲法が規定する国民の権利が十分保障されているか、行政の取組をチェックすること」と述べました。
詳細は以下に討論原稿の全文を掲載します。
議員提出議案第3号 国会における憲法論議の推進と国民的議論を求める意見書に「賛成」の立場で討論いたします。
私は、日本国憲法を未来永劫、一言一句たりとも変えてはならないとは考えていませんが、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則、とりわけ平和主義の根幹をなす憲法第9条について、堅持すべきであるとの立場です。いま憲法を議論することが緊急度の高い課題であるとは思っておりません。
一方、憲法については多様な考え方があり、国際情勢の変化や、大規模災害等の発生を背景として、今すぐに改正すべき、将来的には改正すべき、時間をかけて議論すべき、改正すべきではないなど、様々な立場を取る方がいらっしゃることも承知しており、それぞれの考え方を否定するつもりはありません。
これは、憲法に限ったことではありませんが、考え方が異なるテーマがある場合、それぞれの主張を述べあい、お互いの立場を尊重しながら、一致できる点、合意できる点を探していくのは当然のことであり、そのために必要となるのが議論です。多数決は、民主主義において取られる最終手段としての手法ではあるものの、議会で多数派を持っているからと言って、十分な議論もなく何でも思い通りに決めてよいというのは全く間違った考え方であります。
本意見書は、現在の日本国憲法に対して様々な立場があることを前提とし、ある特定の結論に向かうことを意図するのではなく、国会及び国民に対し広範な議論を求めるものであると理解しており、その範囲においては、反対するものではないと考えております。
おりしも明日から、参議院議員選挙が始まりますが、政権与党である自民党は、憲法改正を党是として、公約の中にも明確に書き込んでいます。選挙の結果によっては、憲法改正に向けた議論をさらに加速させようとする動きが出ることも考えられます。そのような状況の中、議論することそのものを否定してしまっては、国民の間で憲法に関する理解が深まらないまま、一方的に数の力によって憲法改正の発議へと向かってしまうという結果となる可能性もあります。このような事態は、避けなければなりません。
NHKが昨日発表した参議院議員選挙を前にした世論調査の結果を見ても、今の憲法を改正する必要があると思うかという質問に対し、「改正する必要があると思う」が37%、「改正する必要はないと思う」が23%、「どちらともいえない」が32%であり、国民の憲法に対する考え方は大きく割れていることがうかがえます。
憲法審査会においては、結論ありき、日程ありきで進めることなく、十分に時間をかけ、丁寧な議論を進めていただくことを強く求めます。
最後に、市議会議員としての私に、いま課せられた役割は、現在の日本国憲法が規定する国民の権利が、十分に保障されているか、行政の取組は十分であるかをチェックすることであると考えます。とりわけ、2年以上に及ぶコロナ禍や、日々の生活を直撃している物価高など、市民の暮らしをめぐる状況は厳しさを増しています。憲法25条が定める生存権、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」や、憲法13条の幸福追求権など、国民の大切な権利が本当に守られているのかという視点から、今後も市政のチェック、そして提案を続けていくことが、市議会議員としての大切な責務であると申し上げたうえで、本議案に対する賛成討論といたします。
次に、議員提出議案第4号「消費税のインボイス制度の再考を求める意見書」です。こちら、提出者は立憲フォーラムの佐藤議員と共産党の中村議員ですが、賛成者には自民党議員の名前も入り、多くの賛成が見込まれていました。結果、公明党だけが反対するという少し珍しい形になりました。
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最後に、議員提出議案第5号「沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋立てに使用しないことを求める意見書」です。私は当然と考えて賛成しましたが、賛否表をご覧いただいておわかりの通り、自民・公明が反対、それ以外が賛成という結果で、反対多数により否決されました。
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生活者ネットワークの後藤議員が提出者となったこの意見書、私は賛成討論の中ではっきりと指摘したのですが、辺野古の新基地建設の是非を問うものではありません。それは意見書の案文を読めばわかることです。新基地建設の是非ではなく、戦没者の遺骨を含む土砂を使うという人道上の問題を問うているのであり、他自治体で全会一致で可決された例も多いとして「賢明なご判断をしていただきたい」と呼びかけましたが、反対多数となったことは非常に悲しいです。
写真は少し古いですが、2010年、沖縄県糸満市の平和祈念公園を訪れた時のもの。
この意見書に対しては、私を含む4名が賛成討論に立ちましたが、反対した自民・公明の議員は誰も反対討論を行いませんでした。傍聴に訪れていた市民は、反対理由もわからず、ただただ数の力で結果が決まることに驚いていらっしゃいました。
以下、討論原稿の全文を掲載します。
議員提出議案第5号 沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋立てに使用しないことを求める意見書に「賛成」の立場で討論いたします。
すでに多くの議員が指摘した通り、明後日6月23日、戦後77年目の沖縄慰霊の日を迎えます。この日は、沖縄戦における日本軍の組織的戦闘が終わった日であり、私たちが決して忘れてはならない日の一つです。太平洋戦争末期の3か月にわたる地上戦により失われた命は、20万人にのぼります。特に、戦闘の激しかった沖縄本島南部には、いまも多くの遺骨が眠っており、国やボランティアによる収集作業が続けられています。
こうした中、防衛省沖縄防衛局が、辺野古の新基地建設にかかる設計変更を沖縄県に申請、埋め立て土砂の採取地に本島南部の糸満市と八重瀬(やえせ)町などを追加したことから、全国各地の自治体からこれに反対する声が上がることとなりました。
本意見書は、国会及び政府に対し、沖縄戦戦没者の遺骨を含む土砂を埋立てに使用しないこと、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」を遵守し、政府が主体となって戦没者の遺骨収集を実施すること、の2点を実現するよう要請するもので、辺野古の新基地建設の是非を問題にしたものではありません。新基地建設に対する考え方にかかわらず、そこに戦没者の遺骨を含む土砂を使用することには、反対の声を上げるのが当然のことではないでしょうか。
もとより、新基地建設に限らず、いかなる目的であったとしても、戦没者の遺骨を含む土砂を埋立てに使用することは、人道上許されない行為であることは明らかです。
事実、同様の意見書が提出された自治体で、新基地建設に対する賛否を超えて、全会一致で可決された例が多数あります。西東京市議会においても、議場の皆様には賢明なご判断をしていただきたいと心よりお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。