決算認定に対する討論 不適切な事務執行や「委託」のあり方には苦言

本日、9月議会の最終日を迎え、令和3年度の各会計決算の認定についての議案6件の採決が行われ、すべて認定という結果になりました。私の賛成討論の中では、評価できる事業について触れたうえで、「市民にも多大な影響を与える不適切な事務執行が繰り返されたことは非常に残念」「委託として実施する事業を否定するものではないが、各担当部署は委託先業者の事業執行状況について、しっかりとチェックしていただきたい」と意見を述べました。9月15日から22日まで行われた決算特別委員会で私が訴えたこととあわせて報告します。

【決算特別委員会で訴えたこと】

■男性職員の育児休業
男性職員の育児休業の取得率が低く、期間も短い。「業務が繁忙で取得をためらう」とのことだが、女性職員も繁忙な中100%取得している。「男性の育休に対する認識が低い」との答弁もあったので、この認識を変えるよう取り組んでほしい。

■職員提案制度
意欲的な提案がある中、前年度にすべて「不採用」「不受理」に終わった改善提案部門、新規事業提案部門では提案数が激減してしまった。全面的に取り入れられなくても、議会で言う「趣旨採択」のように職員の意欲を受け止めてほしい。

■PR親善大使の活動
請求した資料によれば7組いる大使のうち年間通じて3組の活動しか出ていない。コロナ禍ではあったが、せっかく大使になっていただいたのでもう少し活躍の場を設けてほしい。

■乱立気味の市公式アプリ
いこいーな西東京ナビについて、他のアプリとの情報の比較、整理を行うことだが、他にも市の公式アプリ、公式ラインなどのSNSも登場している。それぞれに運用委託料もかかってくるので、整理をお願いしたい。

■こもれびホールやコール田無の利用承認
コール田無条例によれば、「公序良俗を乱すおそれがあるとき」や「管理上支障があると認められるとき」は承認しないとのことだった。現実に公序良俗に反する行為を行っていると指摘される団体も世の中に存在するため、しっかりと審査をしていただきたい。

■駅周辺の喫煙所
コンテナ型、トレーラー型の喫煙所設置の検討をしているとのことだが、場所とコストの課題がある。現状、駅周辺のタバコのポイ捨ては喫煙所休止後も年々減少しており、新たなコストをかけて設置することは慎重に考えるべきだ。

■市内消費喚起事業の参加店マップを
参加店舗の一覧が町名ごとに出ていたが、例えばひばりヶ丘駅南口でお店を探すのに、住所がひばりが丘か、谷戸町か、住吉町かという探し方はしない。地図アプリ上で参加店舗が表示できるようにすべきだ。

■18歳へのメッセージカード
成人が18歳になるが、式典は20歳のままとなる。本来成人である18歳に対して市から何もアプローチがないことになるので、「メッセージカード」の送付を検討してほしい。

【一般会計決算の認定に対する賛成討論】

議案第69号 令和3年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定について、賛成の立場で討論いたします。

令和3年度一般会計歳入決算額は、令和2年度比170億5274万9784円、16.7%減の、853億2240万8119円、歳出決算額は、令和2年度比192億5584万5111円、19.3%減の、804億8310万3711円となりました。特別定額給付金給付事業等により過去最高の決算額となった令和2年度と比べれば減少したものの、新型コロナウイルス感染症への対応等により計11回の補正予算を編成したこともあり、過去2番目の決算額となりました。

市税収入が過去最高となったことにも支えられ、財政調整基金残高が標準財政規模の10%近くにまで回復したことは一定の評価をいたしますが、依然として新型コロナウイルス感染症への対応が求められるのに加え、燃料費の高騰や物価高が市民生活に大きく影響していることも踏まえ、基金残高の回復と市民生活の下支えの両面を意識したバランス感ある財政運営を今後も求めます。

令和3年度を振り返ったとき、市民にも多大な影響を与える不適切な事務執行が繰り返されたことは非常に残念です。個々の事案について改めて述べることはいたしませんが、事務処理適正化に向けて、原因の究明、再発防止策の徹底を図ると共に、一人ひとりの職員にとって、風通しがよく、働きやすい職場環境をつくっていただきますよう、改めてお願い申し上げます。

令和3年度の予算執行にあたっては、「子ども・若者支援」の視点を盛り込むよう強く要望いたしました。市内の子ども食堂への補助や、本市独自の取り組みとして、国の就学支援新制度を受けている非課税世帯等の学生を対象とした、西東京市学生応援特別給付金の支給が行われたこと、子育て世帯への各種給付金の支給が行われたことは評価します。一方、各種給付金の支給にあたっては、いわゆる所得制限によってもらえる・もらえないの差が生じ、不公平感を抱く方が少なからずいらっしゃったことは指摘しておきたいと思います。今後実施される事業の中で、どのような対応ができるかについて、ご検討いただきたいと思います。

大学生等若者向け緊急食料支援を計2回実施し、困窮する学生への支援ができたことに加え、その後の相談先として福祉丸ごと相談窓口につながったケースもあったという点は、これまで行政との接点が持ちづらかった若年層へのアプローチとして有効であったと思います。また、令和2年度に実施できなかった成人式に代わり、「21歳の成人式」として旧交を温める機会を設けられたことも、評価いたします。

令和4年第1回定例会において、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロを目指し「ゼロカーボンシティ宣言」を行ったことは、かねてより求めてきたことでもあり、今後の大きな方向性を示すものとして評価します。残念ながら、その後のロシア・ウクライナ情勢の悪化により電力、ガス等のエネルギーを取り巻く状況が厳しさを増していますが、本市として、再生可能エネルギーのさらなる導入についてどのようなことができるか、未来に向けて何ができるかについては引き続き模索していただきたいと思います。

学校教育においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のためのオンライン授業が実施されました。児童・生徒の状況に合わせて、預かりの実施や、給食の提供も行うといった他自治体にはない取組は多くのメディアでも取り上げられ、注目を集めました。現場で奮闘された先生方のご努力に深く感謝いたします。一方、学校行事については中止や内容変更を余儀なくされるものも多く、結果として、通っている学校によって同じ西東京市の児童・生徒でありながら、体験できる内容が大きく異なる結果となったのは残念です。そうした中でも、常に子どもたちの気持ちに寄り添った対応をしていただいたと承知しておりますので、その姿勢は今後もお続けいただければ幸いです。

市内経済対策として実施された、市内消費喚起事業、キャッシュレス決済ポイント還元事業、エッセンシャルワーカー応援事業の3事業については、これまでにもその規模の妥当性や効果検証の手法について、厳しい意見を申し上げてまいりました。使用実績、決済額等の数字をもって事業効果があったと繰り返しご説明いただいているところではありますが、一過性のものになっていないか、事業期間終了後の売り上げ増、来店客増にもつながるような取組となっているのか、アンケートにお答えいただけなかった事業者、各種事業に参加しなかった事業者の声は拾えているのか等、今後に向けて検討すべき課題はあると改めて申し上げます。

最後に、ただ今の市内経済対策にも関係しますが、委託のあり方について一言申し上げます。本市の事業を、委託として実施することについて否定するものではありませんし、効果的・効率的な事業実施、また専門性を生かした事業実施が行われるのであれば、委託事業者がそれにあたることは必要なことであると思います。しかしながら、決算審査の場面で申し上げると、委託された事業については決算書上「委託料」としか表示されず、詳細の使途についてのチェックが難しいのが現状です。
先日の決算特別委員会では、市内消費喚起事業、キャッシュレス決済ポイント還元事業、エッセンシャルワーカー応援事業の3事業について実績報告書を資料として求め、詳細の内容についてお尋ねしましたが、十分なお答えをいただくのに時間がかかる場面がありました。委託した中身について、その実施状況を担当部署が十分に把握しているのか不安になる場面であったと言わざるを得ません。とりわけ、随意契約によって行われる事業については、入札時の競争性が働いていないことから、その実施状況についてはより厳しい目をもって確認していく必要があると考えます。
今後も、気になる事業については今回のように資料を求め、決算特別委員会をはじめ、様々な機会にその詳細について確認させていただきたいとは思いますが、各担当部署にあっては、委託先業者の事業執行状況について、しっかりとチェックをし、説明責任を果たせるようにしていただきたいと要望させていただきます。

以上、いくつかの意見を申し上げたうえで、令和3年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定についての賛成討論とさせていただきます。

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