旧市民会館解体工事の工期延伸を専決処分 田村は承認せず

10月18日に開催された市議会臨時会で、旧西東京市民会館解体工事の工事請負契約の変更についての専決処分について、議会に承認を求めるという議案が提出され、大変厳しい質疑が展開されました。

専決処分とは、市長が本来議会で議決すべきことを議会に諮らずに決定することで、乱用すれば議会制民主主義を否定することになります。最近では小金井市長が市立保育園の廃園条例を専決処分し、議会がこれを不承認としたことをうけ、市長を辞任するという結果になりました。もちろん内容も背景もまったく異なりますが、それほど重い問題だということです。

旧市民会館解体工事は、当初からいわくつきの案件でした。落札した業者が府中市の官製談合事件に関わった業者であるということで、入札に問題はないのか、非常に安い落札価格であるが大丈夫かといった疑問が提示されました。指名停止期間は終わっており、契約締結自体には制度上問題はないとのことでしたが、しっかり事業者をチェックしてほしいという声が議会から上がっていました。

その後、今年に入って想定を超えるアスベストが見つかったため、工期を延長する必要があるという事態になり、その延伸期間を3か月とするか、2か月とするかでさんざん議論がありました。跡地活用業者に影響が及ぶ可能性があるからと945万8千円余計に費用をかけて延伸期間を2か月にとどめるという選択をしました。私も、悩みながら賛成した経緯があります。
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ところが、工期が終わる9月30日の前日になって、工事が終わらないので工期を11日間延長する専決処分をしたいという一報が入りました。工期が延びること自体も問題ですし、前日になってそんな話になること自体が異常です。連絡を受けて唖然としました。

説明によれば、8月30日に地下の浄化槽の撤去に時間がかかることが判明したこと、9月に二度の台風が接近したことにより工期延長が必要になったとのことです。しかし、プロの解体事業者としてあまりにお粗末ではないでしょうか。

市側は、9月20日に解体事業者から「工程が10月にまたがる可能性がある」との話を受けていました。ところが、翌日9月21日にはどういう根拠かわかりませんが、市と解体事業者の間で「9月30日までに完了することを確認」しています。その後、9月23日から25日まで台風が接近し、9月26日には再度9月30日までに完了するスケジュールについて確認し、解体事業者からは「引き続き努力する」旨の返答を受けています。

それが、土壇場になって9月28日に解体事業者から工期延長について協議がされ、9月29日に「10月11日までの工期延長の申出書」が提出されるという事態になります。もちろん業者がとんでもないのですが、まんまと業者の言いなりになっていた市もとんでもありません。

さらに課題なのは、市長がこのような事態になっていることを初めて知ったのが9月29日であるということです。旧市民会館解体工事については当初から厳しい目が注がれていたのですから、少なくとも9月20日に工期延長の可能性が示された段階で、情報は共有されるべきでしたし、その時点で対処していれば、9月27日まで開会していた市議会に議案として提出し、議決することも可能だったのです。

市長は答弁で、「専決処分はしたくなかったが、それしかなかった」と述べていました。正直こればかりは、市長に同情の念すら覚えてしまいました。

これまでも繰り返されてきた事務処理のミスでも、その原因に「報告・連絡・相談が徹底されていない」「悪い情報が上がってこない」といった指摘がありました。それがまた繰り返されていることに暗澹たる思いがします。

議会としては、このような状況で行われた専決処分を承認するかどうかが問われていました。専決処分は仮に不承認になったとしても、その効力が失われるわけではありません(というより、そもそも工事は終わっています)が、議会の意思として、今回の事務執行には大きな課題があると不承認を突きつけるべきだと私は考えました。

実際、自民党から始まってすべての会派、無所属議員が厳しい質疑を重ねました。ところが、採決になると、自民・公明が賛成に手を挙げ、承認という結論になりました。執行部を守ったつもりなのかどうかわかりませんが、こうした姿勢こそが、議会との緊張感を失わせる原因となっているのではないでしょうか。時には行政に対してNOを突きつけられる議会でなければ、議会の存在意義が問われます。

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