本日、第1回定例会が閉会。令和5年度一般会計予算は賛成多数で成立しました。私は、給食費無償化や学生等応援特別給付金に当初予算で全く触れないのは、市の一般財源1億8千万円超を投入して実施するキャッシュレス決済ポイント還元事業などと比べるとその扱いに温度差を感じずにはいられないと課題を指摘した上で、市民生活を支える重要な事業が多数盛り込まれていることを考慮し、まずは本予算を成立させ、足らざる点は要望を続けると賛成討論で述べました。
なお、令和5年度一般会計予算への賛否態度は以下の通りです。
賛成 24
自民、公明、立憲、維新・国民・みんなの会、ネット、無所属(納田、長井、田村)
反対 3
共産
※議長は採決に加わらない
結果的には共産党のみの反対で、圧倒的な多数での成立となったのですが、市長与党の自民・公明が過半数を割ったことで、予算の内容自体がいわゆる野党側にも配慮されたものになったという受け止めもできます。また、当初予算には載っていない学生等応援特別給付金について、実施を求める陳情が全会一致で採択されるといった動きにもつながっていると感じます。
参考までに、私の賛成討論の原稿を掲載します。実際の言い回しは変えた部分があります。その他の議案の結果等は後日改めてご紹介します。
議案第5号 令和5年度西東京市一般会計予算に対し、賛成の立場で討論いたします。
本議案は歳入歳出予算の総額を、前年度比4億円、0.5%増の、774億9千万円とするものです。
取組の柱として、「子ども施策」「環境施策」に加え、「平和施策」を掲げ、(仮称) 子ども・若者平和ワークショップの開催や、田無駅北口の平和のリング等を復活させ、非核・平和宣言都市として、西東京市から世界に恒久平和への強い想いを発信すると表明したことを、まずは高く評価します。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなど、世界各地で依然として紛争が絶えない中、次世代を生きる子どもたちが、本市にもあった戦争の歴史を知り、平和とは何か、私たちには何ができるのかを考えることが、今まさに求められていると感じます。令和5年度に限らず、継続的な取組としていただくよう望みます。
環境施策では、省エネ型家電の買替えなどの環境に配慮した製品に対する助成制度の導入、姉妹都市・友好都市と連携したカーボンオフセット事業の検討、公共施設におけるLED照明への改修等が盛り込まれました。電気代の高騰が続いている点も踏まえ、さらなる省エネを推進し、2050年までのゼロカーボンシティの実現に向けて引き続き取り組むことを期待します。
子ども施策では、子どもからの相談体制の充実としてLINE相談の開始、保育環境や施設の整備、田無柳沢学童クラブの過密化解消のための柳沢小学校敷地内への学童クラブ整備、学年教育アシスタントの小学校8校への設置、学校司書配置の3校に2人への増員などが盛り込まれたことを評価します。
令和5年度は、市の再上位計画である第3次基本構想・基本計画をはじめ、各種個別計画を策定する年度にあたります。策定にあたっては、すでに子どもを対象としたアンケートを行っていると承知しておりますが、子どもたちの声が各種計画にしっかりと反映されるよう、お願いいたします。
一方、子どもがど真ん中を掲げながら、多くの議員が実現を求めてきた学校給食費無償化や、これまで2年間実施されてきた学生等応援特別給付金などについては、今回の当初予算で一切触れられませんでした。学校給食費無償化については、中学校や多子世帯を対象とするなど、まずは可能な範囲から実施できないかと質疑で取り上げましたが、前向きなご答弁はいただけませんでした。特定財源等の見込みがない中、市の一般財源で実施する難しさがあることは十分承知していますが、そうした中でも、キャッシュレス決済ポイント還元事業のように1億8千万円余の一般財源を投じて実施される事業もあるなど、その扱いに温度差を感じずにはいられません。
報道等によれば、学校給食費無償化については、国レベルでも様々な動きがあるようですので、今後も国や東京都の動向を注視しつつ、市として何ができるのかを考え、子ども・若者向けの施策をさらに充実させることを強く求めます。
また、これまで何度か提案している、一定の予算内で若者自らが政策立案する若者議会の開催や、18歳新成人に対するメッセージカードの送付など、若者世代とつながる取組についても、他自治体の事例を参考に、本市でも検討を進めていただくよう改めて要望します。
事業者支援、消費者支援として、これまでキャッシュレス決済ポイント還元事業と市内消費喚起事業が実施されてきましたが、令和5年度はキャッシュレス決済ポイント還元事業が選択されました。
昨年、令和4年度当初予算の討論では、キャッシュレス決済に不慣れな方など、事業の恩恵を受けられない方がいることを指摘し、可能な限り多くの方が利用できるよう取組を求めましたが、令和5年度は、高齢者等のデジタルデバイド対策としての体験会を田無庁舎、イングビル、アスタセンターコート等も活用して開催することや、スマートフォンを持っていない方でも利用できるようICカードを導入するなど、一定の改善が見られました。引き続き、一部の人しか恩恵を受けられない事業とならないような取組を求めるとともに、客観的なアンケート結果に基づく効果検証を行うよう求めます。
新型コロナウイルス感染症への対応として実施している、発熱外来運営費の補助については、地域の医療体制を確保するため、令和5年度も継続して行うとのことですが、5月8日から感染症法上の位置づけが2類相当から5類に移行されることも踏まえれば、地域のかかりつけ医で診療できる体制へと移行していくことが求められるのではないでしょうか。年度末までの運営を前提とすることなく、今後の受診状況等について定期的に西東京市医師会と意見交換し、状況に応じて運営体制の変更も含めた協議を行うよう求めます。
事ある毎に申し上げてきた、市の魅力発信、行政の情報発信についての課題解決に向けて、専門的視点からアドバイスを行う任期付職員を新たに配置し、市民により伝わる・より分かりやすい広報活動に努めるという点には期待をいたします。今年度末には下野谷遺跡で竪穴式住居2棟、土器溜まり1基の復元が完成、本年6月には、三菱UFJ銀行が所有する武蔵野運動場が「MUFG PARK」として一般開放される予定となっているなど、新たな地域資源も誕生します。西東京市の魅力を、これまで以上に市内外に発信し、住みたい街、住み続けたい街となることを願います。
最後に、昨年の当初予算に対する討論の際にも申し上げたことを本日も述べさせていただきますが、誰もが納得する、100%満足できる予算というものはありません。私も、今回の当初予算に賛成の立場を取りますが、不足する点、改善が必要な点もあると感じています。
しかしながら、新規事業も含め、市民生活を支える重要な事業が多数盛り込まれていることを踏まえ、まずは本予算を成立させたうえで、足らざる点については要望、提案を続けていくことが妥当であると判断いたしました。引き続き、課題と感じる点は厳しく指摘させていただきますし、検討課題となっている点については、今後の議会での質疑においてその進捗を確認させていただきたいと思います。以上、いくつかの意見を申し上げたうえで、本予算に対する賛成討論といたします。