第3回定例会が閉会 令和4年度一般会計決算は「認定」とするも苦言

10月3日、第3回定例会が閉会しました。例年でも9月議会は前年度の決算審査のため長丁場なのですが、今回は10年に一度の策定となる総合計画に関連して、「基本構想審査特別委員会」も開催されたため、いつも以上の長丁場となりました。

議案等の賛否結果で見ると、ほとんどが全会一致で可決され、真っ向から意見が対立する場面は少なかったです。その中で賛否が真っ二つに割れたのが、「マイナンバーカードの取得を行政サービス提供の条件にしないことを求める陳情」でした。

陳情者は、岡山県備前市において、「世帯全員がマイナンバーカードを作れば給食費や学用品は無償、作らないと有料」といった内容の条例案が可決され、最終的には撤回されたものの、本市においても同様の事態が起こる危惧があると考え、そのようなことがないように求める陳情を提出したのです。委員会では、多くの委員から「当然だ」といった声が出て、私も「当然」採択になると思っていたのですが、自民党、公明党が反対に回りました。

反対討論では、自民党の稲垣議員が「マイナンバーカードの取得と行政サービスの提供は別次元の話なのに、それを同列に考えている陳情者の認識が違っている」、公明党の八矢議員が「マイナンバーカードの取得が行政サービス提供の条件になることは憲法の平等原則にも反する。そのようなことがないことは委員会でも確認されており、陳情者の願意はすでに叶っている」などと反対理由を述べていましたが、腑に落ちる内容ではありませんでした。

なお、議員提出議案として提出した「有機フッ素化合物対策の推進を求める意見書」は、退席者・欠席者がありましたが、全会一致で可決成立しました。国や東京都に対し、地方自治体への情報提供と必要な支援などを求める内容です。

第3回定例会のメインとも言えるのが前年度令和4年度の決算審査です。私が行った質疑の内容についてはすでに記事にしておりますのでこちらをご覧ください。
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共産党と納田議員が反対(不認定)で、私を含め多くの議員が賛成(認定)という結果でしたが、課題がなかったわけではありません。本来計上する必要のない予算を誤って計上するなど、適正な事務執行とは言えない事態もあり、苦言を呈しました。

参考までに、私の賛成討論の内容を掲載します。

議案第53号 令和4年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定について、賛成の立場で討論いたします。

令和4年度一般会計歳入決算額は、872億629万1335円、836億8642万1252円。新型コロナウイルス感染症への対応に加え、物価高騰等への対応のため、計13回の補正予算を編成したこともあり、過去2番目の決算額となりました。月1回以上という補正予算編成のペースは記録的なものであり、財政当局は大変な苦労をされたものと推察いたします。ご努力に対し敬意を表します。

私が常々、当初予算や決算の討論の際に申し上げていることですが、100%満足できる、何一つ課題のない予算・決算はまずないと考えています。毎回、評価できる点、課題となる点があり、それらを総合し、判断をしています。

市長は令和4年度の行政運営、事務執行を振り返って、何一つ問題のない、完璧な内容だったと考えていらっしゃいますか。この場でお答えをいただくわけにはまいりませんが、謙虚な池澤市長のことでありますから、胸に手を当てて考えていただいた時、この点は課題だったなと感じるものもあるのではないでしょうか。

あえて私から令和4年度を振り返り、予算の適正な執行という観点から課題を指摘するならば、1つには、補助金交付要綱の改正により、本来計上する必要のなかったマイナンバーカードの作成にかかる事務費を、当初予算に計上し、そのことに気づかないまま年度を終えるという事態が発生したことが挙げられます。私はこの件に関連し、令和3年7月19日の企画総務委員会において、マイナンバーカードの交付手数料の取り扱いについて、変更点を質疑いたしました。この際も、少々複雑な仕組みであると思いましたが、手数料条例の改正という形で議案審査もしたわけですから、この事務処理のミスの原因が、メールの見落とし、通知内容の理解不足であったというのは信じられない思いです。市民生活への直接的な影響がなかったとしても、適正な事務執行という点であってはならない事態だったと指摘します。

もう一点、旧市民会館解体工事が予定された工期よりも11日間遅れたこと、そのための工事請負契約の変更について、議会を招集する時間的余裕がないという理由で、専決処分とせざるを得ない状況になったことも、重大な問題です。この点については令和4年第4回臨時会の質疑において、様々指摘をさせていただきましたので、ここで細かく申し上げることは致しませんが、工法を変更してまで工期の延長幅を2か月にとどめるという判断をしたにもかかわらず、後の跡地活用事業者に影響が出かねない11日間の遅れが結果として発生したこと、こうした事態が市長の耳に入ったのが、工期終了予定日のわずか1日前であったことは、課題があったと言わざるを得ず、かかる専決処分については不承認という判断をさせていただいたことは、この場で申し述べておきたいと思います。

ただいま指摘した事案につきましては、これまでの質疑において、各部、各課において再発防止に向けた取り組みが進められていると承知しています。再び同じような事態が繰り返されることがないよう、お願いいたします。

賛成討論にも関わらず、課題の指摘を先に申し上げさせていただきましたが、市長、教育長以下、各部署の職員の皆さんが市民生活向上のために奮闘されてきたことについては、この場を借りて感謝申し上げます。

歳入において、市税収入が当初の見込みを上回り、全体で過去最高額を上回ったことにも支えられ、社会保障関係経費の増加や物価高騰等への対策が求められる中においても、予算の執行管理に努め、財政調整基金残高の回復を図った結果、第4次行財政改革大綱に掲げた目標値に達したことは、評価できる点だと考えます。引き続き、基金残高の回復と市民生活を支える視点からの基金の活用という両面を意識し、バランス感ある財政運営を求めます。

令和4年度は、新型コロナウイルス感染症や物価高騰等に対応した事業者支援策として、国や東京都の補助金を活用し、キャッシュレス決済ポイント還元事業、市内消費喚起事業としてのプレミアム応援カードの販売、中小企業や個人事業主に対する給付が実施されました。これらの事業が、市内経済の活性化に寄与したことは、金額的な実績からも否定するところではありませんが、今後は、これまで同様に特定財源が見込めるとは限らないという前提の下、一時的なカンフル剤的な施策の繰り返しではなく、市内事業者の魅力を発信し、地域経済が継続的に盛り上がる取り組みの充実を期待します。

フレイル予防という位置づけで実施された高齢者応援事業としてのつながり応援カードの配布については、予算審査の段階から、ただのバラマキにしてはならないと繰り返し申し述べてきました。応援カードが外出のきっかけとなり、久々の外食の機会につながるなど一定の成果があったことは、担当課のご尽力もあってのことと思いますが、すべての高齢者に対して一律に、無償で配布する形式が適切であったかどうか、工夫の余地がなかったかという点は指摘しておきたいと思います。

若者等への支援については、大学生等若者向け緊急食料支援を、また、学生等応援特別給付金給付事業を、前年度より対象要件を拡大して実施したことは、若者世代と直接つながることのできる重要な取り組みであったと評価いたします。これらの事業の実施は、現状、年度ごとの判断とされていますが、特に学生等応援特別給付金については、学びの機会の継続という観点から、今後も継続して実施する可能性はないのか、あるいはこれ以外に、どのような若者支援の方法が考えられるのか、検討を進めていただきたいと思います。

市長がゼロカーボンシティ宣言をした後の最初の年度として、環境ポイント制度(にしとうきょう環境チャレンジ)の実施、にしとうきょう環境アワードの創設等により、市民と一体となって地球温暖化への対策を進めようという取り組みをスタートさせたことは評価いたします。今後は、令和6年度からの第3次環境基本計画の中で、しっかりと進行管理を行い、CO2削減についてわかりやすい形で見える化することが課題ですので、着実な取り組みを期待します。

総合計画をはじめ、各種計画策定のために多くの委託料が発生していることは、同僚議員からも指摘のあったところです。委員会審査にあたっては、委託料の中身をより具体的に、可能な限り詳細をお示しいただき、使途の妥当性が判断できるよう努めていただきたいと要望します。その上で、例えばアンケートの実施や集計など、計画策定業務の一部を委託すること自体を否定するものではありませんが、職員にとって、文字通り自分ごとの計画にするためにも、可能な限り職員自身の手で書き上げた計画となるよう求めます。

最後に、西東京市が、市外の方からは「住みたい街」、市内の方からは「住み続けたい街」と思っていただくためには、市の魅力発信、広報の充実が肝要であると考えます。PR親善大使のさらなる活躍の機会の創出、いこいーなの活用をはじめ、市長自ら、そして西東京市の職員お一人お一人が西東京市の魅力の発信者として、市内外にアピールしていただくことを望みます。

以上、いくつかの意見を申し上げたうえで、令和4年度西東京市一般会計歳入歳出決算の認定について、賛成討論とさせていただきます。

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